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    フィットネストレンド

    異業種から学ぶフィットネスの未来、エマ・バリーが語る

    グループフィットネスのレジェンド、エマ・バリーが、フィットネス業界での25年と世界最大級のジムの経営コンサルタントとしての経験から、これからの10年間で異業種がフィットネスを形作る理由について説明します。

    レズミルズ
    エマ・バリー

    レズミルズ(以下LM):これまでブティックビジネスを間近で見てこられて、いま「ブティックのピーク」を迎えているのか、それとも経営者にとってまだ成長の余地は多く残されているのでしょうか?

    エマ・バリー(以下EB):まだ始まったばかりです。

    常に先をゆく都市、ニューヨークやロサンゼルスではある程度飽和状態にあり、同じく不動産が高騰しているロンドンも同様です。どの業種でも同じことが言えますが、良くないブティックは失敗し、良いブティックは規模を拡大します。

    オレンジセオリーやF45、その他多くのボクシングやバレエのフィットネスブランドのフランチャイズビジネスは都市部から住宅街へと移行しています。エクスポネンシャルとその傘下の8つのブティックブランド(ピュアバレエ、AKT、ロウハウス、ストレッチラボ、ストライド、サイクルバー、ヨガシックス、クラブパイレーツ)は海外展開を進めています。

    地方の起業家は、より収益性の高いブティックのビジネスモデル(小規模の土地で、1体験あたりの高い参加費)を利用しており、ブティックセクターはいまも健全な成長を続けています。

    LM:ホームフィットネスがいま大きな話題を呼んでいます。フィットネストレンドであなたの興味を引くものは、その他にもありますか?

    EB:そうですね、ペロトンなどの企業は自宅で行えるエクササイズを確立しようとし、景気が後退するとますます人気が出ると思います。

    私が気になるその他のフィットネストレンドは、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(米国CES)やグローバルウェルネスサミット(イタリア)など、フィットネス業界外でも注目を集めています。

    それは、テクノロジーです。システムの効率化やデータの収集・獲得、エクスペリエンスの強化などを可能にするテクノロジーは、まだフィットネス業界では導入に時間がかかっているのが現状です。しかし、世界的なフィットネストレンドとして「ウェアラブル」が第一位になったということは、やっとフィットネス業界においてもテクノロジーが注目され始めた証拠と言えるでしょう。

    「ハイパー・パーソナライゼーション」(関連するデータをよりきめ細やかに「つなぎあわせていく」アプローチ)もまた消費者に求められていることです。消費者が「手に入れたいものを手に入れたい時に、手に入れたい方法で提供する」ためにフィットネスのみならず健康や美容のトレンドなどにも目を向け、その方法を導き出すヒントを得るのです。

    クラスパスなどのフィットネス事業者は、旅行業界の革新を参考にしながら、フィットネスにとどまらず「ライフスタイル・サービス」を提供するために、フィットネスの枠を大きく超えて拡大を図ろうとしています。

    また、エンターテイメントやメディアの巨大企業が今後はフィットネス業界に参入することになるかもしれません。SoulCycleは、スタジオ体験に併せて斬新なマーケティングコンテンツを提供する20名からなるメディア部門に大きく投資しており、新たな収益を生み出すことを狙っています。そして、アメリカの音楽プロデューサーのスクーター・ブラウン氏(ジャスティン・ビーバー、アリアナ・グランデ、アッシャー、カニエ・ウェストなどをプロデュース)はRumbleと提携し、プログラミング、プロダクション、タレントマネージメントなどの知識を活用して、同社が展開するホームフィットネスの立ち上げを目指しています。

    LM:従来のスポーツクラブは、ブティックと競うには何が必要ですか?

    EB:このブティックの勢いを切り抜けられれば、大手スポーツクラブにとってもチャンスは訪れるでしょう。施設規模、大きなロッカー/更衣室、駐車場、多様性、コミュニティ構築、メンバーシップモデルにより安定した収入が見込める資金力などがスポーツクラブにはあります。

    直ちに注目すべき点は以下の三つです。

    1. クラブ会員を知る― 驚くほど多くの大手スポーツクラブは、プロモーションや製品、サービス提供する上で所属会員のデータ分析をしていないことがわかっています。
    2. プログラム・エクスペリエンスを再構築する― ブティックの出現は、会員がお金を払ってでも参加したくなるフィットネス体験を学ばせてくれました。同様にプログラムをレベルアップさせ、インストラクターの質もあげて「エクスペリエンス」を提供しましょう。
    3. 作り上げれば、集客は図れる ― 施設投資し、提供するエクスペリエンスにふさわしい感動的なストーリーを作りましょう。限られた予算の中で、なるべく多くの感動を与えましょう。
    ブティックと争うには、従来型のクラブはプログラムやスタジオのコンセプトに大胆なアプローチを取る必要がある、とエマは言っています

    LM:フィットネスの新時代に突入しますが、グループワークアウトはこの先の10年間でどう進化すると考えますか

    EB:グループエクササイズは今後も発展していくでしょう。食事をするように、フィットネスも生活の一部になっていきます。食事ならば、5つ星レストラン、フードコートの軽食、スーパー、そしてデリバリー。フィットネスに置き換えると、クラブでエクササイズ、スマホを使ったエクササイズ、バーチャル、旅行中に、フィットネスイベントなど様々な形があります。また、その中でも種類、時間、インストラクター、効果など、たくさんの選択肢の中から選ぶことができるようになります。

    LM:クラブ経営者として、このようなチャンスをどのようにして活かし、流れに置いていかれないようにするにはどうすればいいでしょうか?

    EB:「革新を、さもなくば死を」。お客様を理解し、前進し続け、新しいことに挑戦する。常に検証を重ね、クラブ会員、スタッフ、ブランド支持者や否定者の意見に耳を傾け、限界に挑みましょう。ビジネスモデルを変化させることや料金体系を変更すること、新しく流行のプログラムを試すこと、新たな空間を創り出すことを恐れていてはいけません。データを分析してみましょう。資産を食いつぶす戦略は止めて、思い切って新しい扉を開いてみましょう。「過去の経験」の繰り返しの時代は終わりました。一番いいマーケティング手法が何かを参考にするのではなく、とにかくやってみましょう。それで一番良かった方法を自ら決めるのです。他人にならうのではなく、自ら探りましょう。

    LM:会員を惹きつける素晴らしいメンバーエクスペリエンスの要素とはなんでしょう?

    EB:予想通りなのですが、調査によると、ブティックの二大要素は一流の人材と効果的なプログラムだという結果が出ています。これら基本に忠実に投資しましょう。会員を惹きつけ喜ばせる環境整備はもちろん大事ですが、何より重要なのはコンテンツであり、特に質の良いインストラクターはレッスンの良し悪しを左右します。

    LM:またクラブに行きたいと思わせるために、テクノロジーを活用した作業の自動化、それによりスタッフのよりパーソナルな対応が可能になることをどう思いますか?

    EB:日常業務の自動化とエクスペリエンスの向上(ウェアラブル、個別目標、テクノロジーを活用した施設)の両方の観点から、テクノロジーの可能性にとてもわくわくします。社会的動物である人間は、エクペリエンスを求め、その実現のために想像し、問題解決し、つながろうとします。テクノロジーは、我々のそのスキルをさらに次のレベルへ引き上げてくれるのです。

    Amazonプライムなどによる小売業から利便性を学ぶことができたので、我々は人と人とのつながり、「また行きたい」という気持ちを持ってもらうための施策により注力することができます。

    バーチャルやオンデマンドフィットネスの進化にもかかわらず、クラブのグループフィットネスクラスが成功するカギを握るのは依然として素晴らしいライブインストラクターだとエマは言います

    LM:あなたが“ロックスター”インストラクターとして活躍していたことは有名ですが、現在バーチャルやオンデマンドが普及している時代のインストラクターの役割とは何だと思いますか?

    EB:もちろん今バーチャルや動画配信を利用してインストラクターとして活躍できることはいいと思います。特にペロトンのような企業であれば、何千人もの人に配信されますからね。

    ブティックの拡大、大手スポーツクラブの反撃、そして格安クラブは女性会員の満足度を維持するためにライブクラスが重要であると気が付く中で、インストラクターの役割は依然として重要ですが、現状に満足してはいけません。業界全体でレベルアップを図らなければなりません。デジタルを通じて素晴らしいコンテンツ提供ができている中、インストラクターはさらにスキルを磨き、エンターテイナーとなり、人と人をつなげる役割を果たさなければなりません。

    バーチャルやその他のデジタルソリューションが普及することで無くなる仕事もありますが、例えばインストラクターがコンシェルジュ、コーチ、そして人と人を繋ぐ役割を担うように、幾つもの役割を持つ「ハイブリッド」な仕事も増えてくることでしょう。

    要するに、人間同士のつながりを、もっとうまく創り出さねばならないということです。

    エマ・バリーについて

    レズミルズ・インターナショナルの創設メンバーであり、ラグジュアリーライフスタイルブランド、エクイノックスのディレクターを務めたエマは、フィットネスプログラミング、プロダクト開発、グローバルトレーニング、そして人事などの管理職を経験。
    エマはもっとも急成長している格安スポーツクラブやブティックスタジオ、フィットテックなどの新興企業のコンサルティングを行っています。多作家かつ講演家であり、今後のフィットネス動向についてとても詳しいです。フィットネス業界25年を武器に、エマはビジネスフォーラムやパネルディスカッション、女性向けのイベントなどに貢献しています。http://emmabarry.com / @emmaccbarry