年を取ったインストラクターになる不安?年齢のルールなんて誰が作ったの?

クリエイティブディレクターのカイリー・ゲイツが、年をとることの魅力について教えてくれました。

カイリーさん、こんにちは!インストラクター歴25年目を迎えましたね。今までのことを振り返り、過去の自分にアドバイスが出来ることがあるとすればなんだと思いますか?

難しい質問ですね。なぜなら、私は後悔することをしないから。人生の段階においてそれが必要だからこそ、その境遇にいるのだと私は考えます。強いて言うなら、周りの声より自分自身を信じてあげて、と言ってあげたいです。新米インストラクターだった頃、私はクラスの参加人数ばかり気にしていました。フリースタイルのインストラクターとして自分のコリオグラフィーを作っていた時は尚更です。

以前はカーディオが大好きで、エアロビクスのクラスだけを週に数回教えていました。元からエネルギッシュで元気な性格だったので、常に「オン」の状態でいることが性に合っていました。ただ唯一カーディオを教えていて嫌いだったことは、感情のアップダウンの激しさでした。最初は最高に気分がいいのですが、クラスが終わるとテンションが落ちていたのです。炭水化物を欲するあまり、過剰に糖分も取りすぎていたのも原因かと思います。今の食生活では、糖質は少し控えています。

BODYBALANCE™を教え始めた時、ヨガが自律神経のバランスを整えてくれることに気づきました。私はとても感情的な人なので、身体的なものだけではなく、精神面・感情面においても気持ちを落ち着かせることが出来ました。なので陰と陽とウェイトトレーニングが掛け合わさったヨガワークアウトが今では大好きです。

あなたはBODYPUMP™BODYBALANCEのプレゼンターとして知られていますが、この異なった2つのプログラムのどこに魅力を感じますか?

私はそれぞれ別のマインドセットで臨みます。BODYPUMPは私をとても強い気持ちにさせてくれます。アイソメトリック(等尺性)収縮で筋肉にかかる負荷、そしてその後の解放感が大好きです。燃焼している感覚とその後の解放感は中毒と言っても良いくらいです。

BODYPUMPに参加する人は、結果を出したいという気持ちが強いかと思います。インストラクターとしての私の役目は、彼らにその結果を得るための最後のひと押しをしてあげることです。そのためには、みんなと一緒に苦痛を味わうのも怖くはないと感じています。だって困難の先には、最高の解放感が待っているから!そこで彼らの頑張りを称えるように私はみんなに「一緒に乗り越えられましたね!」と声をかけます。BODYPUMPはまさしく身体面、感情面、心理面、精神面など様々な観点で内側から強くなれると思います。

ですが、ウェイトトレーニングは筋肉を縮ませてしまいます。私は筋肉がつくのが早いので、ヨガでその筋肉を伸ばすのが好きです。大量のスクワットの後には、体は伸びをしたいと感じています。BODYBALANCEはその筋肉を伸ばすのを手伝ってくれます。

ヨガは自分の新たな一面を知れる方法だと私は考えています。しっかり向き合うことで驚くほど自分のことを知ることが出来ます。私は参加者の好奇心を育てるために、BODYBALANCEは相手にコーチングするように教えます。もちろんマイクを持っているのは私だけなので一方通行の会話ではありますが、よくクラス後にメンバーが「私に話しかけてくれていましたか」と尋ねてきます。なぜなら私はクラス中、自分の人生の中で起きていることや、多くの人が共感できる言葉を伝えるからです。例えば、もっと伸びを感じてほしいポーズをしているときに「これ以上伸びることはできますか。今日何をすればあと数センチ先を掴むことが出来ますか。あなたの可能性を信じたらどこまでいけますか。」と言ったりしています。

私はポーズのテクニックだけでなく、ポーズを通して自分自身のことを見つめなおすことを学んでほしいと思っています。ウォーリアーポーズで手の位置を修正し呼吸を続けるよう伝えることも出来ますし、「ウォーリアーは何を表していますか?それは自分自身を理解していることを意味します。あなたはこの世界でどんな存在ですか?あなたの生きがいは?」などと聞くこともできます。もちろんすべてのポーズでこんなことをしていたら一生クラスが終わりませんが(笑)、適宜でそれを行うことで人に気づきを与えたいと思っています。

ヨガを通して私自身変わったと体験したことなのですが、マットの上で学んだことは、人生に活かすことが出来ます。ヨガでは、ただポーズの形を覚えるだけでなく、マインドセットについても学ぶことが出来ます。ヨガのヒーリング効果については様々な調査結果がありますが、私にとってヨガは、自分自身に優しくなれるという絶大な効果があります。相手を思いやるためはまず自分に思いやりを持つことが大切になります。

BODYPUMPに参加する人は、結果を出したいという気持ちが強いかと思います。インストラクターとしての私の役目は、彼らにその結果を得るための最後のひと押しをしてあげることです。そのためには、みんなと一緒に苦痛を味わうのも怖くはないと感じています。

フィットネス業界において、年齢を重ねる事の魅力について教えてください。

私は楽観的な性格なので、年を取ることには沢山の利点があると考えます。50代はまるで自分自身の新次元に入ったかのように感じます。

私はレズミルズ・インターナショナルのクリエイティブディレクターに就任した際にオーストラリア・パースからニュージーランドに戻り、その後まもなく50歳になりました。その過程で、私は自分自身を知り、他人の意見に振り回されず自分らしくいることに自信を持てるようになりました。以前より欲求(物理的なものや、大勢の人との関わりなど)は減り、仲の良いグループで一緒の時間を過ごし楽しむことが好きなのは変わりませんが、以前より自分のことを理解し、求めるものがはっきりしてきたと思います。

ダンスの経験は一貫性と規律の大切さを教えてくれました。その一方で、自分に厳しくなってしまうことも多く、時にはやる気を削がれて自信を失うこともありました。自分の身体に満足し、その瞬間の状態が幸せだということを20代に知っていればと思います。。他の上手な先輩インストラクターを見て、彼らのように早くなりたいと急ぎ過ぎていました。年齢を重ねることは、違う観点で物事を見れるように成長させてくれました。たまに自分が出ているビデオを見て、ぞっとすることもありますが、「その瞬間の出来事だったから、あれでいいのよ」と今では笑い飛ばすことが出来ます。

年齢を重ねることの1番の魅力は、常に成長出来ることだと思います。人によっては、ここまでで十分、これが私の限界、と決めつけてしまいますが、私は継続的な進化だと考えます。40歳の時と今の私は全く別人ですし、10年後にはまた別人になります。それが年を取ることの醍醐味だと感じます。様々な進化の過程を経て沢山の学びの機会を得て、休みたいなと感じた時にはゆっくり時間を使ってその学びを吸収することもできます。

年齢は“贈り物”だということを忘れないでください。前向きに考えてみましょう。「前よりシワが増えた」ということだけでなく、ここまで歩んできた人生を振り返ることで自分を誇りに思えます。私は昨年健康上の不安があり、自分の人生を振り返るきっかけがあったのですが、私は今まで辿ってきた道のりを何一つ変えたいと思うことはありませんでした。私の人生が最高で恵まれているということに気づかせてくれました。

若くて身体がフィットしたインストラクターが多いフィットネス業界は競争が激しいかと思いますが、ベテランインストラクターとしてその状況にどのように対応していますか?

私は仕事に対してしっかりとした倫理価値観を持っています。今までの頑張りのおかげで私はここまで来ることが出来ましたし、私は準備を怠ることをしないので、自信をもって自分らしくいる事が出来ます。

正直なところ、SNSが普及するまで自分のシワのことを深く考えたことはありませんでした。だって、シワは年を取った証でしょ?もし年齢を気にしているインストラクターがいたら、「なぜ気にするの?年齢のルールなんて誰が作ったの?」と投げかけます。そんなルール誰も作っていないのだから。私は、この世界のどこかに私を必要としている人が絶対いるはず、と考えます。その人たちはありのままの私のユニークさ、見た目、しゃべり方、教え方、コネクションの取り方を受け入れてくれるはずなのです。

いつか身体的にクラスを教えることが出来なくなる日は来るので、その日まで走り続けます。私は出来ないことではなく、出来ることは何だろう、と常に考えます。若い人にできなくて、経験値のある私に出来ることは何だろう、とね。

あなたは人生のバランスを取ることを大切にされていますよね。その考えに至るまでの道のりを詳しく教えていただけますか?

ここ数年の間、自身の内面を見つめ直したことで大きな変化が起きました。私は様々な面(身体面、精神面、感情面など)を通して人生の均等を取ることに注力してきました。

クラスを教えているので身体面は常にいい状態にありますが、やりすぎて自分の身体を酷使してしまうときもあります。業務委託で長年やってきた身として私は断ることに抵抗があり、何事にも常に全力で臨む傾向があります。ですが、気持ちのアップダウンを感じ始めた時にこれは持続可能ではないことに気づきました。常に全力で取り組んでいた仕事もありましたが、それは1、2年で完全燃焼してしまっていました。

人生において私は仕事を常に一番に考えてきました。ですがそれだと別の何かが犠牲になるということを学びました。「このまま続けたら、これは私の友情関係や家庭にどう影響するのだろう。自分自身との関係性は変わるだろうか。」と自問するようにしました。自分のことを大切にすることが一番大切だと私は考えます。

年齢を重ねるごとに、人生はすべての繋がりだと気づかされます。旦那のグラントは、常に全力を注がなければいけないという、私が自分自身に課しているプレッシャーを和らげるようサポートしててくれました。彼は私に、「常に100%オンの状態はありえないよ」となだめてくれます。私にとって、その言葉はとても心に響き、気が楽になりました。年を取ることは、健康、長寿、そして持続可能性だと思います。あと何一つ後悔しないことね。

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カイリー・ゲイツはLES MILLS CORE™、 BODYATTACK™、 SH’BAM™、 BODYBALANCE とLES MILLS BARRE™のクリエイティブディレクターです。オーストラリア・パース出身の彼女は、世界中を旅し、BODYPUMPとBODYBALANCEを代表とした、様々なLes Millsマスタークラスに出演しました。前LES MILLSアジアパシフィックのトレーニングマネージャーで、ヨガインストラクターの資格を持っています。現在はニュージーランド・オークランドに拠点に置き、クラスを行っていないときは海岸沿いを散歩したり、趣味のヘルシーなお菓子作りをしています!

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インスタグラム: @kyliegatesfitness

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