クラス後の寝付きが悪いインストラクター必見! 効果絶大な対策方法とは?

クラスが終わったらなるべく早く寝たいのに、いざベッドに入ると目が冴えてしまう……。そんな経験はありませんか? なぜ、このような現象が起きるのか? どうすれば早く寝られるのか? 一緒に対策方法を探ってみましょう。

ワークアウト後は、自然と神経が高ぶるものです。しっかり対策をしないと、クラス後の睡眠に悪影響を及ぼし、結果として体力の回復を妨げてしまうことがあります。

睡眠の質を維持することは、インストラクターにとって非常に重要です。アメリカ・ミシガン州にあるHenry Ford Sleep Laboratoryの睡眠医学部門責任者/医療ディレクターであるミータ・シン博士は、次のように指摘しています。「睡眠は、運動パフォーマンスのあらゆる側面に影響を与えます。反応速度、正確性、運動機能、集中力、モチベーション、グルコース代謝、記憶と学習、ストレス調整など、運動パフォーマンスの最大化に不可欠な要素が全て含まれているのです」。

ワークアウト後に神経が高ぶる理由

この現象は、体内で生じるいくつかの生理的変化によって引き起こされます。グループフィットネスのクラスを終えると、下記のような生物学的反応を通じて身体は興奮状態になります。

ホルモンの急増:運動をすると、アドレナリンやノルアドレラニンの分泌が促進されます。これらは、幸せホルモンとして知られるエンドルフィン、そして交感神経系を活性化させるカテコールアミンの一部であり、心拍数とエネルギーを高めることで覚醒レベルが上昇します。
深部体温の上昇:運動によって体温が上がると、身体は「今、覚醒している。活動する時間だ!」と認識します。
コルチゾールの分泌:高強度の運動では、「闘争・逃走反応(fight or flight)」の一環として、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。筋肉のタンパク質をアミノ酸に分解する性質があり、エネルギー源として利用できる形に変える働きをします。
心理的な刺激:たとえ低強度のクラスであっても、照明や音楽、参加者との交流などによる刺激が脳を活性化させ、しばらく興奮状態を維持することもあります。

では、どう対策すべきか?

Les Millsのインストラクターは、日常的に人よりたくさんの運動をしています。特に夜のクラスを担当している人は、寝付きの悪さに悩むことが多いかもしれません。そこで、スムーズに眠りに入るためのポイントを紹介します。

1. 寝る前にストレッチをする

Pre-bedtime stretching and meditation session can improve sleep.

とある研究(英語のみ)によると、就寝前のストレッチと瞑想が睡眠の質を向上させることがわかっています。また、ジンジャー・ゴットシャル博士とブライス・ヘイスティングス(Les Millsのリサーチ部門責任者)による研究では、BODYBALANCEをベースとした20〜30分のストレッチと10分の瞑想を週3回、2週間にわたって行った結果、参加者の睡眠に大幅な改善が確認されました。

対照群と比較して、前述のストレッチと瞑想を実践した人に関しては、以下の効果が見受けられました。

心拍変動(HRV)の改善 *神経系の回復力の指標
・不安や緊張の軽減
・睡眠の質の向上

ゴットシャル博士は次のように述べています。「この習慣は、身体的健康と精神的健康の双方に多くのメリットをもたらし、非常に有効な回復プロトコルになります。実践した人は、自己肯定感、自信、モチベーションの高まりを感じたと答えてくれました」。

2. クールダウン後のクールダウン

最近の研究(英語のみ)では、寝室の温度を下げることで、ノンレム睡眠の第2段階に早く到達することが報告されています。睡眠サイクルの中でも、身体が組織を修復し、骨や筋肉を作り、免疫システムを強化する大切な段階です。

夏の暑い時期には、季節に適した掛け布団に変えましょう。ジェル素材の冷却枕やコットンもしくはリネンのシーツなどもお勧めです。また、扇風機で室内の空気を循環させたり、眠気を誘うホワイトノイズも効果を期待できます。

3. スマートフォンと上手く付き合う



55,000人を対象にIKEAが実施したグローバル調査では、回答者の72%がベッドでスマートフォンを使っていることが明らかになりました。理想的な習慣とは言えませんが、就寝時スマートフォンに一切触れないというのは非現実的です。

そこで、スマートフォンの「睡眠モード」を活用してみてください。Androidユーザーは、「ベッドタイムモード」に設定することで壁紙が暗くなり、画面が白黒に変わり、通知もオフになります。iPhoneユーザーは、「ワインドダウン(就寝準備)」や「スリープフォーカス」などの睡眠サポート機能を利用できます。

YouTubeには、ASMRやサウンドスケープなどのリラックス動画が豊富にあります。また、4-7-8呼吸法やボックス呼吸法などのチュートリアル動画もありますので、ぜひご覧ください。

もしパートナーと一緒に寝ている場合、ぜひスリープフォンのようなヘッドバンド型ヘッドフォンを使ってみるのも良いかもしれません。パートナーの睡眠を邪魔をすることなく、気兼ねなく動画などのコンテンツを楽しむことができます。

4. 食事のタイミングを考える

夜遅くの食事が睡眠によくないことはわかっていても、夜クラスを担当するインストラクターは夕食が遅くなりがちです。

こちらの研究(英語のみ)では、就寝の4〜6時間前を夕食にすると、十分な時間の睡眠をとることができるとしています。可能であれば、昼食を1日のメインにし、夜はクラス後にタンパク質中心の軽食に抑えるのがお勧めです。

また、別の研究(英語のみ)によると、炭水化物が多い食事は血糖値の急上昇を引き起こし、睡眠を妨げる可能性があります。一方で、タンパク質が豊富な軽食は夜間の血糖値変動を71.4%も抑えるという研究結果もあります。

さらに、睡眠を調整するホルモン、メラトニンの前駆体であるトリプトファンが豊富な食品をとるのもいいでしょう。トリプトファンを多く含む食品には、チーズ、七面鳥、卵、魚、ごま、牛乳、ピーナッツなどがあります。

5. 眠れない時は無理に寝ようとしない

「寝なくてはいけない!」と焦れば焦るほど、人は眠れなくなるものです。20分以上眠れない場合は、一度起きて何かしら単調な作業をしてみましょう。洗濯物をたたむなどの単調な作業をすると、不思議と眠気が訪れるものです。少し疲れてきたら、達成感を感じながら再びベッドに戻ることができます。

また、感謝日記をつけるのも効果的です。例えば「今日あったいいことを3つ書く」だけで睡眠の質が向上し、中途覚醒が減るという研究結果(英語のみ)もあります。

いいことの簡単な例を挙げてみます。
「今日は、クラスでたくさんの参加者に楽しさを届けられた。これはすごいこと!」

それでは、おやすみなさい!