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    世界のクラブ事例

    失敗のサイクルを経てたどり着く。今あるインストラクター育成の形

    今回は、クラブが成功するための重要な鍵を握るインストラクターの育成や、インストラクターが複数の担当アイテムを持つことのメリットについて、株式会社ダンロップスポーツウェルネスの伊藤宜充氏にお話を伺いしました。

    Les Mills Japan

    Les Mills Japan(以下LMJ):スタジオプログラムは、会員獲得や維持に対しどのような役割を果たしていますか。

    伊藤氏:ダンロップスポーツクラブでは、パーソナルに特化したり、設備でメリットを出すというよりも、スタジオプログラムに力を入れて取り組んでいます。インストラクター1人が30〜40人の会員に対し質の高いレッスンを提供し、それに伴って会員同士のコミュニティを作り上げていく。そういったイメージを持ち、また期待もしています。幅広いジャンルのスタジオプログラムをできるだけ多く提供することで、幅広い客層に対して魅力的なタイムテーブルを作ることを心がけ、それを販促の際の訴求ポイントにもしています。

    LMJ:スタジオは店舗の中や会社全体の中でも重要視されているエリアになるのでしょうか。

    伊藤氏:そうですね。ダンロップスポーツクラブがスタジオに力を入れていくことになった理由は、他社様も含めて、中身もハード面もどんどん変わっていき良いものがたくさん出てくる中で、スタジオがひとつの武器になると考えて、10年ぐらい前から取り組みを強化しています。施設によって偏りもありますが、Les Millsプログラムをかなり増やしているところもあります。やはりスタジオで何をやっているか、バリエーションはどれくらいあるかなど、トータル的な内容として気にするエリアになっています。昔はエアロビクスやヨガだけでしたが、今は本当に多種多様なスタジオプログラムがあり、どんどんバージョンが変化していっているので、常に新しいニーズに対応すべく取り組んでいます。良いものがあれば何店舗かでテスト導入し、反応が良ければ水平展開していきます。LES MILLS GRITTMやLES MILLS BARRETMを導入したのも早い時期だったと思います。特にLES MILLS BARRE導入の際は日本で最初のIMTに参加しました。当時は複数の店舗にインストラクターを派遣してクラスを実施しながら、お客様の反応が良ければその店舗のスタッフにライセンスを取得してもらっていました。

    LMJLes Millsプログラムにおいて、客層の傾向を教えてください。

    伊藤氏:BODYPUMPTMやBODYCOMBATTMは幅広い年齢層の方々にご参加いただいています。BODYBALANCETMやLES MILLS CORETMなどは比較的年齢が高い層にも人気があり、BODYATTACKTMやLES MILLS GRITは汗をかきたい方やハードに動きたい方、年齢でいうと30代から50代ぐらいの方に多く参加いただいています。時間帯にもよりますが、スタジオは基本的に女性の方の利用が多いです。

    LMJ:御社の場合、プレコリオプログラムのインストラクターは、自社スタッフとフリーインストラクターのどちらの割合が多いでしょうか? またフリーインストラクターの採用プロセスや基準はどういったものでしょうか?

    伊藤氏:7対3ぐらいの割合で自社スタッフが多いです。一部フリーの方でエリアをまたいで活躍していただいているケースもあります。フリーの方を採用する際は、希望される店舗またはエリアでオーディション行っています。担当の社員やリーダーたちが集まり面談等をさせていただきます。やはり忙しい時間帯はどこも同じなのでなかなか希望がマッチしない場合もありますが、それでも入っていただいた際は調整をかけて枠を用意したりもしています。審査は、基本的にLes Millsのライセンスを持っている者が行います。コーチングやテクニックなどを見させていただき、面談という流れです。

    LMJLes Millsでは、インストラクターの成長をサポートするために去年LMQ(レズミルズクオリフィケーションズ)を導入しました。各エレメントのグレード評価に基づいて総合的なレベルを付与し、個々の強みに基づく成長プランを作成・提供しているのですが、もしフリーの方がレベルを取得されていた場合、オーディションの際に参考になりそうでしょうか。

    伊藤氏:そうですね。Les Millsでの評価基準があった方が(クラブとしても知識がない採用者がいたとしても)採用がスムーズに行えるので、それは非常に有効だと思います。今後、そういった基準の見直しも必要ですね。

    LMJLMQは導入からまだ日が浅く認知も低いのですが、年間のタッチポイントをクリアすれば全員無料で1回提出ができます。現状を理解し、そこからレベルアップをしていくことは、自身のモチベーションとなるだけでなくお客様にもメリットが還元されるので、活用をご検討いただきたいと考えていますがいかがでしょうか。

    伊藤氏:昨今はコロナの影響からクラスの時間が短かったりマスクを着けながらだったりで、インストラクターが目標を持ちづらい環境でもあるので、そういった仕掛けができればいいなと思います。ともすれば何のためにやっているかというところも見落としがちですが、きっかけがあればみんなが上向きになりモチベーションが生まれるので、品質ややる気の立て直しができる。そういうのもすごくいいなと思います。例えば先輩を後輩が抜くということもあるじゃないですか(笑)。それはすごく活気が出る話だと思います。

    LMJ:自社スタッフをスタジオインストラクターとして育成するメリットを教えていただけますでしょうか。また、スタジオでレッスンを担当しているインストラクターとそうでないインストラクターが、スタッフとして働く場合どのような違いがありますか?

    伊藤氏:メリットのひとつは業務の幅がとても広がるところです。一対一よりも一対複数の接客を同時に行うには、接客力が高くないとできません。お客様はお金を払って通ってくださっているので、スタジオインストラクターはそれに見合うような練習をしてお客様の前に立つ。そのためのスキルアップと育成は必要ですが、スタジオのための育成ではなく、あくまでもスタッフ育成の一環におけるスタジオ担当という考え方です。スタジオを担当して接客の質を高めることで、インストラクションの際にも何のためにこれをするといった、具体的な言葉が出てくるようになります。決められたトークだけを繰り返したり、棒読みのような接客をするのではなく、お客様が何を望んでいるのかがより理解できるようになるので、お客様に次のアクションまでのアドバイスもできるようになります。

    あとは業務において、色々な場面で同じスタッフが担当することでお客様としても安心感を得ることができますね。フロントのスタッフがスタジオを担当していたり、プールのスタッフがマシンを担当していたり、それが様々な形でのコミュニケーションに繋がると思います。

    LMJ:インストラクターが複数アイテムを持つことは、クラブにとってどのようなメリットがありますか。

    伊藤氏:まずお客様からの反応に関してですが、クラブにとって新しいアイテムの場合は、クラブ内で既にお客様から認知のあるインストラクターが取得し、担当することで安心感があるのと、高いクオリティでクラスをスタートできるので、クラスの集客や新規会員の獲得に寄与します。既存アイテムの場合は、指導経験の豊富なインストラクターが複数アイテムを担当することでクラスのクオリティを維持することが出来ます。インストラクターに関しては、活躍の場が増えるためフリーの方には特にメリットがあると思います。自社スタッフでもアルバイトの場合は多少手当もつきます。運営側としては、スケジュールが組みやすい、効率が良くなるなど、全ての面で良い結果が出やすいと思います。

    LMJ:インストラクターが1人当たりで担当しているプログラムの数はどのくらいでしょうか。

    伊藤氏:弊社の場合、2本ライセンスを持つというのがある程度のスタンダードです。1本目を取ると次にもう1本という発想になりますが、3本目、4本目となってくると業務を圧迫することもあります。例えば新曲のシーズンは現場を抜けないといけなくなるため、シフト面の調整も必要になってきます。2本目よりも3本目、4本目というのは、やはり運営側としてもかなりのメリットがあります。ただ、個人の負担がかなり大きいので2本ぐらいで調整しています。

    LMJ1本目を取得してから、どれくらいの期間を空けて次のプログラムを取得するパターンが多いですか。

    伊藤氏:1本目は取って慣れるまでにはかなり時間がかかるので、1年ぐらいは期間を置いています。ただ、学生アルバイトの場合は卒業していくためサイクルが早いのでだいたい1本ですね。フリーの場合は2本の方もいますし、社員だと2本から3本ですね。

    LMJ:ライセンスをスタッフに取得させるためのプロセスはどのようなものでしょうか。

    伊藤氏:クラブ側からアイテムを指定して取りに行ってもらう場合、そのクラス自体に参加したことがない人にもお願いすることがあります。プログラムを理解しないままモジュールに送るのではなくて、必ずクラスに2〜3回は出る、その後にフィジカルチェックをする、そして模擬レッスンをする。そこまでやって本当に出来るか見極めてからモジュール参加の申請を上げるので、ある程度手応えを持ってからモジュールに申し込むという流れです。インストラクターにとっては大げさと思うかもしれませんが、それぐらいやります。

    過去には、モジュール参加が決まった後に何も準備をせず、そのまま参加しても何をやっていいかが分からないまま教わって、クラブでチェックしてくれる人もいない中、誰に聞いていいか分からないので、こんな感じかな?という状態でクラスを担当する。その結果お客様からクレームになる。そんな失敗のサイクルがあったことの学びから、まず1年間は時間をかけてレッスンに参加したり予備知識も多少つけていくことで、インストラクターとして成長が早くなることを期待しています。本当はすぐにでもモジュールに行かせたいのですが、今はこのようなプロセスにしています。モジュールに参加する前に一緒にフォームチェック等をすることで何をすべきか改善点がわかり、アドバイスも出来ますので、モジュールの合格率もあがりますよね。


    LMJ:インストラクターの皆さんは意外にシャイな方が多いと思いますが、スタジオレッスンをするようになってから感じられる変化にはどのようなものがありますか。

    伊藤氏:最初の印象とライセンスを取って現場に出た後との印象はかなり違います。もちろん大半が良い意味で変わっていきます。人材育成のためには、ちゃんと育てる、見守る、そして失敗してもそれを受け入れるといったことをこちら側も徹底する必要があります。ライセンスを取ることで一番変わるのは本人ですが、本人が知らない間に変わっていくこともあります。自分には出来ないと思いながら始めていたかもしれないけれど、最終的に楽しくなって、もっとプログラムに対して自分の時間を割くようになったり。そういったマインドチェンジがあると思います。

    皆さんもよくご存知の通り、スタッフの教育や育成は、何かをやらせたからといって勝手に育つわけではなく、上司や先輩が声を掛けたりコミュニケーションを取っていくという、双方向からの働きかけが必要で、それがやはり成功につながると思います。これまで私たちもかなり失敗をしました。人の入れ替えが絶えず年間サイクルで起きている中、プログラムや品質維持のために幅広いアイテムを多くのスタッフに取りに行ってもらう必要があります。そこが一度乱雑になってしまうと質が低下しクレームにつながります。そのような経緯を踏まえて、今は新規スタッフには1年間ライセンスを取らせず、まず現場優先で業務を覚えてもらいます。その後に支配人決裁を経てライセンス取得へ動くことになりますが、その判断と権限を下すのが支配人になります。現場担当と支配人が最終的にそのスタッフの面倒を見ること。過去の失敗があってやり方を変え、今の形になっています。

    伊藤 宜充氏

    株式会社ダンロップスポーツウェルネス

    ダンロップスポーツクラブつくば店 支配人

    Les Mills プログラム推進担当、2000年よりインストラクターとして活動

    レッスンアイテム:BODYPUMP、BODYCOMBAT、LES MILLS CORE