トレーナーたちが自身のパワフルなストーリーを語る

6月の「PRIDE月間」はLGBTTQIA+に焦点をおいた活動促進月間です。LGBTTQIA+フィットネスコミュニティーの一員としてLes Mills Japanトレーナーと海外プレゼンターの5人が自らの経験を語ってくれました。

清水 祐史

僕はLGBTTQIA+のコミュニティでいうとゲイになります。

学生の時、女性と付き合ったこともありますが、女性を好きになるのと同じように男性を好きになった時に、違和感を感じる事がなく、それが自分にとって普通の事だと感じました。そして男性を好きになったという事実を受け入れた時、自分はゲイであると改めて認めました。

20歳前後の時は、自分自身に自信が無く、これを伝えるとどう思われるかの周りの目や家族への影響も考え、公言する必要もないと思い、生涯誰にも言わないで生きていくのだと思っていました。

でも、Les Millsに出会い、トレーナーとして活動させて頂く中で、当時のトレーニングマネージャーのBasから自分の個性を磨くことの大切さを教えてもらい、海外の人と繋がる機会が増えることで、様々な価値観があること、Les Millsがそれらを受け入れ、自分らしさを出す事を認めてくれる場所であることを知り、自分もトレーナーとして活動していく事、自分らしくいるためには、素のYUSHIという人間を知ってもらいたいと思うようになりました。

自分の体にコンプレックスがあったのでBODYJAMでのテクニックや体の見栄えを良くしたい為に始めたトレーニングで実際に体が変わることができ、自分に自信がついてきたことで、ありのままの自分を出すことの恐怖が無くなりました。そこから、普通の恋愛相談やプライベートの相談ができる人が必要と思い、仲が深まった数人に伝え、初めて同じプログラムのトレーナーの先輩にも伝えました。信頼できる先輩だったので、伝えた後の不安はありませんでしたし、話の流れで伝えたという感覚でしたが、それでも自分が思っているより自然に受け入れてくれることに気持ちが軽くなり、より一層他の方へオープンにすることの恐怖心が無くなり、そこから自分が知っておいてほしいと思う人に自ら進んで伝えられるようになりました。

何よりも一番大きいのは家族に伝えられたことです。僕の一番の味方である人に伝えることができて、今は本当に心も体も楽になりました。

自分らしくいること、それを受け入れてくれる味方がいるということは自分にとって本当に大きな存在です。そして何より、フィットネスを通じて自分に自信を持てたことがとても大きく、Les Millsに出会ってなかったら間違いなく一生話すこともなかったと思います。

自分という個性をありのままに出せる場所、どんな自分でも自信を持てる事が必ずあるということがフィットネスでありLes Millsという場所なんだと僕は思います。

最後に、恋愛の価値観は人それぞれなので無理に話す必要もないし、伝える事もしなくてもいいと思います。自分の中では普通のことが環境によってはまだ難しい人もいると思います。それでも、人は自分が思うより受け入れてくれるということを伝えたいですし、もし誰かからこの話を聞いた時は自然に受け入れてください。そして、グループフィットネスコミュニティの場所では、ただ個性として受け入れてくれて、自信を与えてくれる平等な場所だと伝えたいです。僕自身もトレーナーとして、インストラクターとして、これからもそれぞれの価値観を普通に認め合いながら同じ時間を平等に楽しみ、みんなが自分らしく楽しめる、自信を持ってもらえる場所を提供していきたいと思います。

オットー・プロダン

私が育ったのはブラジルの信仰の厚い軍人の家庭でした。そこには男らしさを押し付ける要素があったと言ってもいいでしょう。私が少年の頃はスポーツといわゆる“少年らしい”ことをするよう期待されていて、父が女っぽすぎると考えていたダンスや体操などはもってのほかでした。仕方なく少年の私はサッカーやバスケをやり、他の男の子たちと一緒に水泳もしました。けれどそこには一度も居場所を見出すことはありませんでしたし、常に自分を偽っているような気持ちでいました。

15歳になった時、全てが変わりました。ジムに通い始めたのです。BODYATTACKとBODYSTEPに出会い、身体的に自分を表現する方法を見つけてすごく楽しいと思いました。このことで、自分がしたいことや自分のアイデンティティについて、本当に強い意志を持つことができるようになりました。自分自身でいることに自信が持てるようになり、体調が良くなり、身体にもっと自信を持てるようになって、これまでやりたくなかったようなこと(サッカーなど)に対して遂に断固とした態度を示し、拒否できるようになりました。カミングアウトしたのもこの頃です。

家族の反応はあまり良くありませんでした。父は18歳になったらすぐに家を出て行けと言って、何ヶ月も口を利いてくれませんでした。私が18歳になる頃には父も色々と考えてくれるようになり、実際には追い出されませんでしたが、それでも私は自分らしくいることで家族を失望させていると感じていました。姉がニュージーランドに引っ越す時に、父は私も引っ越してはどうかと勧めてきました。父は私が家族に恥をかかせないようにやはり出て行ってほしいんだなと思いました。私はその時には自分が何者かが分かっており、誰かを幸せにするために自分を偽ることはもうやめようと思っていたので、喜んで出て行きました。

ニュージーランドに来てからは、もはや家族から隠れる必要がなくなったので、自分らしくいることに、より自信を持てるようになりました。大学で(父に言われて始めた)地質学の勉強を続けながら、Les Millsオークランドシティに通ってグループフィットネスをやり、インストラクターになる道を探っていました。

実際にインストラクターになった時、もうひとつの大きな変化が起きました。人生で初めて、自分らしくいるようにとみんなに言われたのです。自分の弱点だと思っていたところ、あるいは隠さないといけないと思っていたところは、インストラクターとして称賛されるところだったのです。私は人生の大半において、周りに溶け込もうとしてきましたが、インストラクターになることで自分の内なる声に気付き、安心して自分らしくいられるようになりました。

私は、フィットネスコミュニティのオープンなところや受け入れようとする性質が気に入っています。ジムに初めて行った時にLGBTTQIA+コミュニティの人たちに出会い、カミングアウトして、プライドを持って、大声を出したり、楽しくやることができるんだということを、彼らから学びました。私が育った環境ではそれは叶いませんでしたが、そこで楽しそうな人たちを見て勇気づけられました。

今となっては、ゲイであることをオープンにして、普通に幸せな生活を送っている人を見てもらうことはとても大事だと分かっているので、フィットネスの自分の役割を利用して、より多くの人たちに自分が幸せであることを見てもらいたいと思っています。自分の若い頃を振り返り、自分のような人たちが、自分らしくいられるよう手助けしたい、これが私の究極的な目標です。自分自身でいることに勇気などいらない、ただ自分らしくいればいいのです。

トミー・ウォン

私にとって、性別や肌の色など、いかなる違いも関係ありません。私は人が好きなだけです。LGBTTQIA+コミュニティのどこに当てはまるかと言われれば、自分はバイセクシャルということになります。

フィジーで、伝統的な中国人の家族のもとで育ったので、特にその頃はこのことについて話すことはありませんでした。もし話したなら、それは“間違ったこと”だと言われたでしょう。家族は私のアイデンティティを受け入れてくれていませんが、それは構いません。それは単に彼らの時代や文化、伝統によるものだし、彼らが私を愛していることはわかっているからです。人々の生い立ちや慣習として信じてきたことに逆らうつもりはありません。でもそれは、本音で生きられないということとは違います。

Les Millsのフィットネスコミュニティの一員になってからは、より自分らしくいられるようになりました。とても多様で文化的なファミリーで、みんな愛し合っています。違いというものは存在しません。まさに愛は愛なのです。インストラクターであれば、オープンで信頼のおける人であることが奨励されます。ただし私が誰を愛していてどういう生活を送っているかをみんなに大声で伝える必要があるということではありません。

私がみんなに知ってほしいのは、ありまのままの自分でいていいんだ、自分自身でいても大丈夫なんだということです。特にこのことが非常に難しいアジアの文化圏ではなおさらです。そこでフィットネスコミュニティの出番です。ここはポジティブな雰囲気に溢れていて、受け入れ態勢があります。あなたが自分をオープンにして、殻を破って出ていくきっかけを与えてくれる場所です。

ジムで頑張って、人に教える機会を得たおかげで、自分自身や自分の肌に馴染むことができました。今は安心して自分自身でいられるようになったし、今やっている仕事もとても誇りに思っています。自分のクラスから幸せそうに帰っていく人を見送るときが、私にとって一番誇らしい瞬間です。人生を楽しんでいる人や、ワークアウトを終えて元気になったり幸せそうにしている人を見るのが大好きなんです。人を幸せにするという感覚は、絶対に病みつきになりますよ。クラスを教えるたびに大規模なパーティーを催しているような気分になり、もっと続けたいと思わされます。これからも愛を広め、できるだけ多くの人を幸せにしたいと思っています。

ニック・パラシチャック

以前の僕はかなり不健康でした。体重のことで少し悩んでもいましたし、あまり自分に自信を持てないでいました。いつもブカブカの服を着て、めったに出掛けませんでした。兄が僕の状態が良くないのを見て(見た目がどうこうではなく、僕が自分自身について良く思っていないことが兄にはわかっていたのです)、通っていたジムに僕を連れて行き、LES MILLSのワークアウトを試させてくれたんです。すぐに気に入りました。

ジムに通い、クラスのみんなやインストラクターと友達になるにつれて自信がつき、頑張ってトレーニングして、インストラクターになると決めました。このことが僕の個性を引き出してくれました。前はすごく恥ずかしがり屋で内向的な性格でしたが、ステージに立ち、他人に影響を与える立場になることで、自分に自信が持てるようになったのです。自信がつくと、みんなが自分のことをどう思うかなどと不安に思うこともなくなりました。

自分についての捉え方が改善したにもかかわらず、地元であるマンチェスターで暮らしていると、自分の行動がやはりマンネリ化していると感じていました。そんなある日、ふと思い立って旅に出て、オークランド動物園で飼育員の仕事をすることになりました(もともと僕が一番夢中になれるものといえば動物でした)。今は人生の大きな目標をふたつ達成できたと感じています。動物園の飼育員になることと、Les Millsの故郷で指導に当たることです。

グループフィットネスとの関わりが深まるにつれ、LGBTTQIA+コミュニティとの関わりも深まって行きました。Les Millsはとてもインクルーシブな会社です。多様な人々がいて、人生の一歩一歩が描き出され、祝われ、紹介されます。これはすごいことですよね。Les Millsは年に一度ただプライド・パレードのバスに乗るだけではなく、LGBTTQIA+コミュニティのメンバーを一貫してサポートし、代表してくれているのです。

僕らのフィットネスコミュニティには、あらゆる職業の人がいて、あらゆるタイプの個性があります。指導していると、ワークアウトしている人の中には自分に自信が持てない人が必ずいますが、そんな時は、今こそなりたい自分になっていいんだと知ってほしいです。あなたが自分らしくあって、自分がしたいことを楽しんでやっているなら、それがすべてなんだと。

メノ・トーマス

僕は15歳の時にBODYJAMを教え始めました。そんなに若い頃にグループフィットネスを教えることは、本当に自信につながりました。特にトランスジェンダーへの移行を経験している時期だったのでなおさらでした。本来の自分を発見するのに役立ったことは間違いありません。

子どもの頃僕はとてもわんぱくな性格だったので、自分は双子の姉とは違うとずっと思っていました。そして、なぜだろう?と疑問に思っていました。なぜ僕は姉とこんなにも違うんだろう?と。姉はとても女の子らしい女の子で、メイクやドレスが大好きでした。僕もそうでしたが、僕がいつも憧れていたのは父の姿や服装でした。

幼稚園の頃、ドレスを着させられたのが嫌で、脱ぎたくて泣いていました。姉は「乗り越えなさいよ、可愛く見えるわよ」と言っていましたが、僕は可愛くなどなりたくなかったのです。

12歳の頃に独学で学び始め、母に「これってどういう意味?」と聞きました。そしてトランスジェンダーの意味がわかった時、自分がなぜ3歳の頃からこうした感覚を抱えてきたのかがはっきりとわかりました。

自分が何者であるかを受け入れれば受け入れるほど、自分でいることが楽になりました。それはかなりクールな道のりでしたが、いまも素晴らしい道のりを歩んでいます。これから同じような時期を経験する中で、僕が得ているようなサポートを受けられない可能性のある人たちに、少しでも希望を与えられたらうれしいです。

僕は、グループフィットネスと、みんなが自分に自信を持てるよう手伝うことに、とても情熱を感じています。つまり、みんなが自分自身について溢れるほどの自信を持てるようになり、クラスが終わったらハイな気分でジムを出るということです。みんながこれからどんな経験をするのかは誰にもわかりません。ですから55分間で少しでも光を照らすことができたなら、それほど嬉しいことはありません。