グループフィットネスによるポジティブな変化

キーラン・ヒューストンはLES MILLS SPRINT™の顔と呼ばれ、BODYPUMP™、LES MILLS TONE™、LES MILLS GRIT™のレギュラープレゼンターでもあります。 SH'BAM™初心者からサイクルの女王と呼ばれるまでとなったキーランのインストラクタージャーニーについて、本人にインタビューしました。

サラ・ショート:

キーラン、こんにちは!早速ですが、グループフィットネスを始めたきっかけはなんですか。

キーラン・ヒューストン:

今だから言えるけど、当時は人生のどん底に落ちていました。インストラクターの友達がそれを見かねて、私にレズミルズのプログラムを受けてみることを勧めました。「きっと気持ちも上がって楽しいと思うよ」と言ってくれました。実際には、参加することでナイキのスニーカーが無料でもらえるという特典を知ったのが、参加した動機ですが!

そこでSH’BAMに出会ったのです。そう、SH’BAM。私はSH’BAMが大好きになりました。自由な表現やその楽しさに魅了されました。私はレイチ(レイチェル・ニューシャム)のクラスに通ってたけど、彼女は本当に最高なの!本人にこれを言ったことはないけど(笑)彼女のクラスを通して、私は精神面で健康になり、どん底から抜け出すことが出来ました。

あなたはマスタークラスのレギュラーとしてBODYPUMPをはじめ多くのプログラムに参加されています。どのようにしてインストラクターになったのですか。

初めてBODYPUMPを始めたときは、キツ過ぎて、30分しか持ちませんでした!トライセプストラックまで我慢して、それが終わったらクラスを抜けて。ランジが怖くてしょうがなかったわ。既にスクワットで十分足を使っているのにまだやるの?って思ったの。でも徐々に慣れて、ランジも克服しクラスを最後まで受けることが出来るようになりました。

私が通っているクラブの日曜日のレッスンにとてもタフなインストラクターがいたんです。彼女は温かくて、でもパワフルで、まさしく私が理想とする女性像だったんです。私は夫のヴィリを連れて彼女のクラスに参加していたのですが、ある日マティ・スラクストンにアプローチされインストラクターになってみないかと勧誘を受けました。多分あの時マティは私の旦那だけ勧誘したかったんだろうけど、私もセットでついていっちゃった!(笑)

まず初めにBODYPUMP、そしてそのあとLES MILLS GRITを教えました。スキルを上達したかったので、しばらくはその2プログラムしか教えていませんでした。そうしたら、クリス・リチャードソン(オークランドシティの前グループフィットネスマネージャー)に、サイクルに興味ないか尋ねられました。最初は懐疑的でしたが、キャス・マーチンのRPMクラスを受けて、衝撃を受けました。彼女はバイクに乗ったDJの女神のようでした!照明やムード、全てが相まってクレイジーなダンスパーティみたいでした!このようにしてサイクルも教え始め、その他プログラムも続いて教えるようになりました。

教えることの何が一番好きですか。

人々がフィットネスを愛し、動くことに喜びを感じてもらえることですかね。そのような体験を提供出来ることは素晴らしいことです。高強度じゃなくてもいいんです、身体を動かして気分がすっきりしたり楽しい気持ちになるだけで十分だと思っています。

私はあまり「美」「見た目」を意識していません。クラブに通う一番のきっかけになるところだと思うのですが、それより参加者のフィーリングを重視しています。クラスに参加している間、また参加後にどう感じるか、その時々の感情を掘り下げながら、参加者に訴えかけたいと思っています。

クラス中は「うわ、(こんなのきつすぎるから)キーランなんて嫌い!」とか「今はフロアコーチングやめて!」(特にHIITクラス)と思っているかもしれないけど、クラスが終わったあとは解放感や達成感に浸ることができ「今日1日辛くてストレスが溜まったけど、今はとても気持ちがいい」と体感してくれます。

それをどのようにあなたのコーチングに活かしているのですか。

私は内面的なモチベーションなどで、それぞれが自己評価し、ワークアウトを「自分のものにして欲しい」と思っています。

人は新しいことを始めるとき、自身の可能性を過小評価することが多いです。「あんなジャンプできない」や「あと5秒なんて無理」と思い込んでしまうのです。そこで私が、「そもそもチャレンジしてみたの?最後にチャレンジしたのはいつ?試したこともないのに出来ないと弱音を吐くの?私のためにやらないで。自分のためにやるのよ。」と背中を押すのです。

何故そのようにコーチングするのですか。

私は、人の可能性とポテンシャルを信じています。なぜなら私自身、始めたばかりの頃は身体が作れていませんでした。でもSH’BAMでリープをしてみたり、BODYPUMPでいつもより重いウェイトでチャレンジすることが、気持ちを上げてくれると気づきました。そして結果として、さらに上手くなりました。

私は、参加者の奥にあるポテンシャルを本人たちに見せて気づいてほしいと思っています。彼らが達成できることを、私が「鏡」となって。だからコーチングする時は、こう考えます「今よりさらに強い自分になってもらうには、何を聞かせ、何を見せるべきなのか」。何を始めるにも「初めての瞬間」は誰にでもあります。最初の一歩はすごく怖いですが、私が常に全面的にサポートしているという事を感じてほしいんです。彼らの一番の仲間、一番のファンであるような感覚で。

インストラクターになって、個人的に感じた変化は。

私らしく生きていいんだと思えるようになりました。私の母はフィジー人で父はニュージランドの牧場で生まれ育ったスコットランドとウェールズのハーフです。ポリネシアン系の家庭で育つと、「厳かに生きなさい」と教え込まれます。人の邪魔はせず、年配の人に対しては尊敬の意を持ち反論しないこと(反論することは失礼だと言われていました)。幼いころからそのように教わって生きてきたので、自分の意見を発することはありませんでした。

クラスを教えるようになってから、私が発することには意味があることを気付かせてくれました。喋る事を許可してもらえて、そして私が言うことに耳を傾けてくれる人がいるんだと自信がつきました。以前は何か発言するだけで失礼に値するのではとおびえていましたが、今はそんなことはありません。

元々ちょっと変わった性格だったので、クラスを教えることでそれがさらにパーソナリティとして浮き出た気もします!

人生で一番のチャレンジはなんでしたか。

シチュエーションとは言えないかもしれないけど、一番のチャレンジは若くして母親になったことだと思います。

私は16歳の時に娘のパイパーを妊娠しました。娘は16歳になったのですが、ベットメイクさえも出来ない年齢なのに、よく子供を産めたな、と驚きと恐怖さえ感じてしまいます!

その当時も、そして今も「チャレンジ」は続いています。16歳で新しい命を授かること。その生まれてくる子供には、自分の親が精神的そして経済的に安定しているかさえもわかりません。ヴィリと私は、大家族で育ったわけではないので、2人で乗り越えるしかありませんでした。とても大変でした。

私は学校を中退し、家庭を支えるため仕事を始めました。家庭が貧しかったのもあり、15歳からパートタイムなどの仕事をして家族を支えていました。人生にはいろんなことがありますが、私はそれが運命だったと言い聞かせ前向きに捉えるようにしています。ただ流れに身を任せるだけではなく、ちゃんと自分でその中でベストを尽くすよう努力しています。

その過程でたくさんの事を犠牲にしました。パイパーが生まれてからは学業に戻り、キャリアや将来は、全て彼女の存在を念頭におきながら考えました。私には守るべきものがあり、もう私の一人の人生ではないからです。私が手に入れられなかったものをどのように与えることが出来るのか、どのようにすれば彼女は楽な人生が歩めるのか、などいつも頭の中で考えていました。私と同じつらい経験はしてほしくなかったから。

それが私にとっての「チャレンジ」ですが、でもパイパーとその中で経験した苦労や時間は、何一つ変えたいとは思いません。だって彼女は私の全てだから。今は思春期真っ只中だから、もう私やヴィリの事をクールだと思ってくれないお年頃だけどね(笑)

インストラクターの仕事の他には何をされているのですか。

私はアジャイルコーチ(チームの自己組織化を支援)、そしてスクラムマスターとしてIT系サービスの運営及びチームのマネジメントをしています。主に会社のプラットフォームの統合などを担当しています。

これは元々やりたかった仕事ではありません。元々の夢は日本で英語教師をすることでした。私は日本語を4年間勉強したので、将来的に日本に住み英語を教えることを目標としていました。しかし、パイパーを授かり、予定を変更しビジネスとツーリズムの分野へとシフトしました。数年間学んだ後にベンチャー企業に就職し、キャリアを築いてきました。

特にプレゼンターレベルになると、フィットネス業界の競争は激しくなると思います。そのようなプレッシャーにはどの対処していますか。

私は単純に、人が運動するのを見て応援するのが好きです。マスタークラスの撮影やTAPチームに所属していなくてもなぜインストラクターをしているのかと自問自答したら、それが答えでしょう。明るい雰囲気のクラスを作ることができ、それがさらにフィルミングのマスタークラスでだったら(私にとって)ただのボーナスとして捉えるようにしています。

競争心がある事はいたって自然で、目標を立ててそれに向かって一所懸命取り組む事も大切だと思います。でも時には自分ではコントロールできないこともあるので、常に何故自分がこの仕事に就いているか、という本質に問いかけることも必要だと思っています。音楽が好きだから、人と一緒に運動したいから、ステージに立ちたいから―どんな理由でもいいと思います!

個人的な意見として、もし嫉妬や腹立たしさを感じたとき、それら感情を分析するべきです。無視をして無理やり笑顔を作るのではなく、何故そのような気持ちになったかを分析してみましょう。例えば、もし他の誰かがあなたが目指していた役割を与えられたとしましょう。その時に「その人はスキルがあるのか」「ふさわしいのか」と自問自答してみましょう。ひどく心は傷ついているのに、笑顔で気にしないふりをしていても、それは健康的ではありません。

もう一つアドバイスとしては、信頼できる人に相談することです。業界外の友達とかね。12年間かけて準備をし、狙ってた午前6:10からのクラスの枠が取れなかったことを相談したら、きっと友達は「クラスのために朝5時に起きなければならない人と起きなくてもいいあなたがいることに怒っているの?」と明るく返してくれるでしょう。色々悩みを相談しているうちにモヤモヤしていることが小さなことなんだと気づきを与えてくれることだってきっとあるはずです!

驚くことに多くのインストラクターはとても内向的だったりします(ガンダルフやグレンのように)あなたはどんな性格ですか。

私も同じく内気な性格です。人といると力をたくさん使います。私は社交的にみられがちですが、それはきっと常に他人を喜ばせることを心掛けているからだと思います。だからクォータリーワークショップの担当が終わった日には家に帰り、ぼーっと壁を眺めたり、無言で座ったりする時間が必要なの(笑)それだけ一人一人に全力で対応したいという気持ちがあるから。でもそれはそれでとても楽しいわ!

どのようにリラックスしますか。

ご褒美はシャワーを浴びること。シャワー以上の幸せはないわ、顔を滴る水はセラピーのよう。早く起きなければならない時は、「ご褒美」のシャワーが待っていると思って頑張って起きることができる。

理想の休日は、どこか暖かいところで過ごしたいわ。寒いのは苦手だから。でもニュージランドの暑さも少し苦手なの、まるで火の横に立っているみたいだから。太陽がさんさんとしていて、猫がたくさんいる場所がいいわ。あとお芋が好きなので、フライドポテト、マッシュポテト、ローストポテト、お芋がたくさん食べれるといいね。人はいなくて、猫と太陽とジャガイモだけあれば。

キーラン・ヒューストンはレズミルズニュージーランドのTAPチームそしてBODYPUMPとLES MILLS TONEのヘッドコーチです。LES MILLS SPRINT、 LES MILLS TONE、 THE TRIP、 RPM、 LES MILLS GRIT、 BODYPUMPのプレゼンター兼トレーナーでもあり、CEREMONYのコーチもしています。彼女はLes Mills X Stagesアンバサダーで本業のスクラムマスター・アジャイルコーチとしてオークランドを拠点に活動しています。