トレーニングと月経:周期に合わせていますか?

ひと月の中でトレーニングしづらい時期はありませんか?そんなときは少しのんびりと身体と相談しましょう。月経周期に合わせたトレーニングを行うことが、身体能力を引き出す上でもっとも効果的なやり方かもしれません。ではその方法について見ていきましょう。

女性の身体は素晴らしい。毎月さまざまなホルモンが巧みに自然な増減を繰り返し、子宮を妊娠しやすい状態へと導いています。とても神秘的で、素晴らしいのですが、正直、非常に不便なことでもあります。生理痛、激しい感情の起伏、24時間続く出血の処置で日常生活が煩わしくなることもありますが、エクササイズをするとなるとなおさら大変です。

女性にとって、毎月のホルモン変化の中、トレーニング習慣を維持するのが難しいときもあります。ある調査によると、アスリートの75%が、生理痛や腰痛に始まり頭痛や腹部の膨満感に至るまで、月経周期中に何らかのマイナスな側面を経験しています。また別の研究では、月経ホルモンの変化によって、体力、代謝、炎症、体温、ケガのリスクなどにも影響があることが明らかになっています。

アスリートであれ、日常に運動を取り入れている人であれ、影響の度合いは異なるものの、生理中にトレーニングすることは容易ではありません。ただし月経周期の段階をしっかりと理解することで、身体と心に合ったトレーニングをしやすくなるでしょう。

月経周期の段階は?

月経周期とは、生理が始まった日から次の生理が始まる日までを指します。通常28日間ですが、前後することもあります。周期には3つの段階があり、それぞれ卵胞期、排卵期、黄体期と言います。

卵胞期
月経の初日から排卵までの期間です。

排卵期
周期半ばの、卵子が卵巣から放出される時期です。c

黄体期
排卵から月経開始までの期間であり、妊娠しやすくなるよう身体が準備する時期です。

各段階は4つのホルモンによって活性化されます。月経周期の初期段階では卵胞刺激ホルモン(FSH)が卵巣に卵胞を準備させ、成長させます。これらの卵胞は2つ目のホルモンのエストロゲンを作り出し、エスロトゲンが子宮内膜を再構築します。卵胞が十分な大きさに成長し、十分なエストロゲンを分泌すると、3番目のホルモン、黄体形成ホルモン(LH)が分泌されます。ここで卵子が放出され、排卵が起こります。そして最終段階では、卵子を含んだ卵胞が4番目のホルモン、プロゲステロンを作ります。妊娠の可能性に備えて子宮が準備するのを手伝うのがプロゲステロンの役割です。

月経サイクルの各段階でトレーニングを行う方法

卵胞期初期

周期の始め、月経中には、月経ホルモンの分泌は少量です。炎症や痛み、ひどい倦怠感などの症状が見られるかもしれません。こんなときには自分を労り、身体と心を育むためのトレーニングを行いたいものです。自己免疫反応を引き起こす可能性のあるストレスを避けるためにも、回復に重点を置くのが良いでしょう。栄養面では、鉄分を十分に摂取し(血液を失うと鉄分も失われてしまうため)、サーモンや緑の葉物あるいはアブラナ科の野菜など、抗炎症作用のある食品や抗酸化物質を含む食事を選ぶようにしましょう。オーツ麦や豆類、さや豆など、ゆっくり燃焼する炭水化物や、良質なタンパク質もこの時期にはおすすめです。

卵胞期中期

卵胞期が進むに従い、エストロゲンが増加し始めます。この時期になるとエネルギーレベルが上昇し、痛みに対する耐性が高まる人もいます。よりハードなトレーニングを行ったり、高強度ワークアウトやストレングストレーニングに励むのに最適な時期だと考える女性もいます。この時期にストレングストレーニングを行うと気分が良くなるだけでなく、増加したエストロゲンがトレーニング効果をさらに高めてくれるという人もいるようです。

レズミルズプレゼンターのケイラ・ブレアは、いつも周期2週目に力がみなぎると感じるため、うまく利用していると言います。「エネルギーを感じる時期なので、いつもより重めのウェイトトレーニングや普段より多めにワークアウトするように心がけています。まだ元気があるなと思う時には、その日の二つ目のワークアウトとしてLES MILLS GRIT™やLES MILLS SPRINT™などを取り入れることもあります。」

卵胞期後期から排卵期

卵胞期の終わりにエストロゲンのレベルがピークに達すると、トレーニング効果も高まります。排卵直前には、目標を達成し、トレーニングの記録更新できると感じる人もいるかもしれません。興味深いことに、多くの人がこの時期に食欲が減退するとも感じるようです。

レズミルズプレゼンターのキーラン・ヒューストンは、生理が終わると、気分もエネルギーも最高潮に達すると言います。「早朝のワークアウトも苦ではなく、もう少し長く走ってみよう、ジムでのトレーニングを長めにやってみようなどと、もっとトレーニングしたいという気持ちになります。」キーランにとって、月経周期の2週目は、カーディオトレーニングに最適な時期だそうです。

黄体期

排卵が終わると、月経ホルモンは激しく変動します。エネルギーレベルや体力が落ち、体内に水分を溜め込むため気分も重く感じるかもしれません。突然あなたの身体は卵胞期のように高強度トレーニングができる状態ではなくなります。この時期こそ、長く安定した動きのトレーニングを行うのに最適だと感じる女性もいます。自己ベストを目指すのではなく、テクニックや動作効率をじっくり高める時期にしてもいいかもしれません。この時期には副交感神経の活性化も非常に有益なので、ヨガや瞑想、呼吸法などを楽しむのも良いでしょう。

ケイラは月経周期の3から4週目は腹部の膨満感や疲労感、やる気のなさを感じやすいといいます。「こういうときにはいつもより軽いウェイトトレーニング、またはRPM™、THE TRIP™、LES MILLS STRETCH™などのワークアウト、またはウォーキングをしたりします。自分の状態に合わせてワークアウトを選ぶようにしています」と。キーランもこれに似た意見です。「この時期、早朝のクラスは気分が乗りません。もっと寝ていたいという気持ちが強く、クラスに行くことすら嫌になります。また、この時期は怪我や筋肉痛になりやすくなるので、ウェイトトレーニングには気を付けるようにしています。」

「月経周期の後半になると、1週間に行うヨガの回数を2回から4回に増やします」と、キーランは説明します。「陰ヨガを増やすようにしています。ゆっくりと時間をかけてポーズをホールドしてストレッチするものです。身体は陰ヨガをとても気に入っていますよ!」

周期は人それぞれで、人生のタイミングによって変化することを認識することが重要です。若い頃に経験したホルモンの変動が後の人生でまた変わり、さらに更年期になると大きく変化することもあります。更年期になると閉経を迎え、ホルモンが乱れ、ほてりや不眠症、苛立ちやすさなど、たくさんの症状を引き起こします。積極的に体を動かし、ストレングストレーニングなど、好きなエクササイズを行うことが大切です。

まとめると・・・

多くの女性にとって、月経周期の前半の2週間は、追い込み、頑張り、努力、そして記録更新するのに適した時期となっています。それに対し後半の2週間は、抑え気味に、身体を育むやさしいトレーニングを行うのが良いでしょう。

ただし、これは人それぞれです。もっとも大切なことは自分の月経周期を意識し、自分の身体の機能をより深く理解することです。自分の周期を簡単に管理できるアプリもたくさん開発されています。こうして意識することで、運動能力やエネルギーレベル、そして幸せな気分を大きく向上させることができるでしょう。