「できない」から「やってよう」にマインドを切り替えた瞬間、世界は変わりました

Les Millsグローバルアンバサダーのアンソニー・オックスフォードが語る内気な性格の克服、メンタルヘルスの課題、そしてプレゼンターを目指す人たちへのアドバイス。

インストラクターを始めたきっかけ

私は13歳の頃トレーニングに目覚めました。学校から帰ってくるとすぐさま寝室で腕立てやスクワット、クランチなどのトレーニングをしていました。あえて重いものを運びたくて、常にリュックサックにはイエローページ(電話帳)を入れていました!ジムに入会できる年齢になった瞬間すぐに入会しました。多分15歳くらいだったと思います。

陸上やサッカーなど、いろいろなスポーツをやっていました。当時の私にとって、トレーニングは現実逃避のようなものでした。肉体的にだけでなく、運動は精神的にも良いということを若い頃から経験していたおかげで、運動はとても良いものだという認識で育ちました。感情的状態がどうであれ、いつだってトレーニングをすれば気分が良くなることを実感しています。

20代前半までは、ボディビルダーのようなトレーニングをしていました。当時はグループフィットネスには興味がなく、ずっと女性がやるものだと思っていました……。初めて参加したLes MillsプログラムはBODYPUMP™だったのですが、バーにウェイトをつけすぎて、ウォームアップとスクワットで力を使い果たし、残りのクラスは何もできなくて情けない思いをしました。早くこの場を去りたいと思いながら、ただただ時計を見ていました!

その後、BODYCOMBAT™を体験したのですが、クラスが終わるとインストラクターに「どうやって指示を受けているのか?」と尋ねました。イヤホン経由で誰かから動きの指示を受けていると思ったので、「どうやって指示を受けながら音楽を聴いて、同時に身体を動かして、さらにメンバーを動かしているんですか?」と尋ねました。すると彼は困惑したような顔をしながら、イヤホンはつけていないこと、そして全て自分で学んで準備したのだと教えてくれました。それに対して私は「うそ!あのパンチも?音楽に合わせて全部?」と驚きを隠せませんでした。私はリズム感がないので、自分には絶対に無理だと思いました。

とはいえ、インストラクターに対して何かしらの特別な感情を抱いたのも事実です。当時クラブの営業として働いていた私は、ある日BODYCOMBATのIMT(イニシャルモジュールトレーニング)に空きが出たことを知りました。そこから私のインストラクタージャーニーが始まったのです。

IMTでの体験

まず、IMTのアロケーショントラックに苦戦しました。普段聴くような音楽ではなかったので、臨機応変に対応することの大切さを知るいいきっかけになりました。当時は、自分のコーチングスタイルを分かっていませんでしたが、あのトラックを担当することで、インストラクターとしてどのような姿を見せたいかを考えるようになりました。気持ち的に繋がるのが難しく苦戦した曲ではありましたが、今となっては、気持ちを切り替えて仕事に打ち込むことができるようになったのは、あの時の苦労があったからだと思います。

LES MILLS GRIT™は私の2つ目のプログラムで、トレーニングに対する考え方を一変させました。私はウェイトトレーニングをやりすぎたことからスピードを失い、サッカーでは完全にしなやかさを失っていました。GRITで養われる運動能力、そして有酸素運動と筋力トレーニングのミックススタイルは、トレーニングに対する考え方だけでなく、人生に対する考え方も変えました。

GRITのスタジオに一歩足を踏み入れた瞬間から、ハードワークに耐える覚悟が必要になります。スタートの1分からラストの1分まで、もうやめたいという気持ちでいっぱいになります。でも、それぞれのワークセットをやり遂げ、少し休み、集中し直し、エネルギーを補給して、また次のセットに挑む。この流れを、私は人生と重ね合わせています。困難に直面したからやめるのではなく、むしろ受け入れ、それを乗り越える方法を見つける。そうすることで、次なる困難にも対処できる。まさに、ワークアウトと全く同じです。

私のクラスの目的は、入ってきたときよりもいい気分でスタジオを出てもらうことです。人がどんな日々を過ごしているかは分かりません。誰かが笑顔で入ってきたからと言って、その人が本当に幸せだと断言することはできません。

インストラクター業を続ける理由

私の家族は、いつも健康面で苦労してきました。幼い頃、私は祖父が糖尿病で両足を失うのを目の当たりにしました。当時の私は何が起こっているのかよく理解できず、説明も受けていなかったので動揺し、とても怖かったのを覚えています。私が幼かったから理解できなかったのかもしれませんが、それでも何が起こっているのかを教えてくれていたら違っていたと思います。父も太っていて、よく学校でからかわれました。これらの体験は、私の考え方に大きな影響を与え、自分は彼らのような経験をしたくないと思いました。

意外な性格

私は本当に、本当に、本当にシャイです。幼い頃、家族行事などに参加すると、慣れ親しんだ人たちのそばから離れませんでした。もし知っている人がいなかったら……、私はその場で一番静かな人になります。授業で自分が教科書を読まないといけない時は、みんなの前で話したくなかったので、急に読めないふりをするような子供でした。もし子供の私が「大人になったら、君はインストラクターになって大学で講演し、ロサンゼルスで何千人もの人たちを前に話すんだよ」と今の私に言われたら、「そんなことは絶対に無理!」と全力で否定したでしょうね。

インストラクターを通して克服したこと

運動すればエンドルフィンが分泌されることは皆さんも知っていると思います。ですが、私のクラスでは、どうすればエンドルフィンをより高めることができるかを問います。私のクラスの目的は、入ってきたときよりもいい気分でスタジオを出てもらうことです。人がどんな日々を過ごしているかは分かりません。誰かが笑顔で入ってきたからと言って、その人が本当に幸せだと断言することはできません。私自身、少し落ち込んでいる時でも作り笑顔を取り繕うことがあります。たいていの場合、私は他の人の気分を良くすることで、自分の気分も良くしようとしています。私の強み(と同時に弱み)は、自分の感情や弱さを受け入れられることだと思います。

正直に言えば、気分が最悪のときに最高のセッションができることもあります。人によっては、気分が乗らないからクラスをしたくないと思うかもしれませんが、いつだってクラスに出れば気分は良くなります。私は、どんな気分であろうと、必ずやり遂げるというマイルールを持っています。ウォームアップの曲が流れたら、試合開始のゴングが頭の中で鳴り響くのです。

「自分は落ちこぼれだ」とか「自分にはできない」などといった内的対話を克服するのは苦労の連続でした。精神的に落ち込むこともありました。それは常に戦いであり、気分が落ちている時は、いつも自分がどれだけ規律正しいかを褒めるようにしています。時に、ベットから出ることが1日の中で一番困難なこともあります。一旦ベットから出てしまえば、「大丈夫。まだ生きている」と思えるのですが、どうしても「もうここにいたくない」という気持ちを乗り越えることが大変です。

私は16歳から25歳までの間に、人生を終わらせようとしたことが3回あります。幼い頃に姉を亡くし、それ以来、この世界には自分の居場所がないように感じていました。フィットネス業界、特にLes Millsで自分の居場所を見つけてからは、そういったことはありません。今でもうつ病の症状とは闘っていますが、悩みや問題から逃げようとするのではなく、より良い習慣を作り、人を助けることに没頭することで対処しています。

私は16歳から25歳までの間に、人生を終わらせようとしたことが3回あります。幼い頃に姉を亡くし、それ以来、この世界には自分の居場所がないように感じていました。フィットネス業界、特にLes Millsで自分の居場所を見つけてからは、そういったことはありません。

プレゼンターを目指す人たちへ

よく「どうすればイギリスのTAPチームに入れますか?」「どうすればプレゼンターになれますか?」という質問を受けますが、正直なところ正確な回答はありません。私個人としては、毎回クォータリーワークショップ(QWS)には欠かさず参加し、スキルアップを図り、それを自分のクラスで実践するようにしていました。そして、新曲リリースの時には 「このリリースをどのようにコーチングすればいいのか?」「次のリリースのために、まず自分自身が楽しめるようにするにはどうしたらいいのだろう?」を自問しています。

質問をくれた人たちには、次のようにアドバイスしています。「チャンスは必ず訪れるので、今は目の前のことを楽しんでください」と。方程式のようなものはありません。運は自分で切り開くものです。努力し続けることが大切ですが、まずは楽しまないと意味がありません。もし心から楽しめなかったり、他のことに流されてしまうと、それは成長の機会ではなく障壁になってしまいます。

また、ワクワクするようなチャンスは決して断らないことです。私はチャンスをつかんだ日から、いろいろなことが起こり始めました。もし「自分には無理だろう」と思うことがあっても、決して恐れずにチャレンジをしてほしいです。BODYCOMBATのモジュールが急遽オープンになったと連絡が届いた日、私はそう感じました。それ以来、チャンスがあれば掴むようにしています。それがどこにつながるかは分かりません。「できない」から「やってよう」にマインドを切り替えた瞬間、世界は変わりました。

クラスでの面白エピソード

GRITの本認定を取得して間もない頃、何人かの友達にクラスへ来てもらったことがあります。その頃は、ステップを使ったプログラムの初期でした。私はバーピー・ボックス・ジャンプのデモンストレーションをしていたのですが、ボックスの上でジャンプしたときに足全体を使わずに着地したため派手に転んでしまいました。IMTではいつも、ステップに足全体を着地させるようにインストラクターたちには伝えています!

インストラクターとして好きなこと

物心がついたときから、私の情熱は運動と音楽でした。

運動:子供の頃の遊びでも、10代の頃のスポーツでも、大人になってからのトレーニングでも、身体を動かすことが気持ちいいという意味で。

音楽:音楽は私の心に直接響きます。重厚なビートとベースライン、滑らかなメロディー……。それにピアノが大好きです。歌詞は私に語りかけてくるし、多くの曲が私の物語を語っていると感じます。

この2つの情熱を組み合わせることで、多くの人にインスピレーションを与え、壮大なフィットネス体験を毎日創造できることに、私は絶対的な喜びを感じています。