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2026年のフィットネス業界を賑わす7つのトレンド

28.01.2026

リサーチ

人々の価値観や行動パターンの変化、最新テクノロジーの登場などによって、フィットネス業界は常に進化を続けています。では、ここで2026年注目のトレンドをチェックしましょう。

1. JOMOの台頭

もうFOMO(取り残されることへの不安)のことは忘れましょう。2026年は、JOMO(取り残されることへの喜び)の年になります。FOMOへの対抗手段とも言えるJOMOは、SNSなどを通して見えてくる他人の動向に一喜一憂するのではなく、今この瞬間に集中することです。つまり、自分自身の活動に喜びを見出し、セルフケアを最優先し、有意義な時間を過ごすことを意味しています。

メンタルヘルスへの意識が高まるにつれ、より多くの人に「無理に頑張らなくてもいいんだ」という考え方が浸透してきました。JOMOが市民権を得れば、それは「たまには脚のトレーニングをサボっても大丈夫」という考え方が広がるでしょう。フィットネス業界関係者やムーバーの間では、持続可能な進歩のためには休息やリカバリーが重要だという意識が高まってきています。

トレーニングとセットで耳にすることが多い「No pain, no gain(苦労なくして得られるものはない)」というフレーズですが、複数の研究では、若い世代にとってはフィットネスへの興味を失う要因として挙げられており、「gymtimidation(ジム恐怖症)」を助長することが明らかになっています。これは、会員の長期在籍を目指すクラブ運営者にとって、よりソフトなアプローチへ転換する契機を示唆しているのです。

UAEのクラブ運営会社であるGymNationは、メンタルヘルスデーにすべてのウェイトをジムフロアから撤去し、代わりに「今日は、重たいウェイトを持ち上げる代わりに、肩の荷を下ろしましょう」というメッセージを掲げました。この取り組みは、多くの会員から称賛されたそうです。

一方、超低強度を重視する「ゾーンゼロ運動」も広がりを見せています。この運動は、ビギナーにとってはもちろん、ハードなワークアウトの補助的トレーニングを求めるベテランにとっても魅力的なものとして注目を集めています。

2. ウェルネスを充実させる‍

クラブスタッフが会員に「時には運動しないこと」を勧める行為は、一見すると常識に反していると思えるかもしれません。しかし、JOMOの観点から見ると、実はさらなる成長の可能性を秘めているのです。かつて、フィットネスクラブはウェルネスのほんの一部としか見られていませんでしたが、今では主要な役割を果たすものとして認識されつつあります。

情報に溺れ、自分の健康状態に対して過敏になりがちな現代社会において、クラブは会員が本当に必要としているものを理解しています。だからこそ、よりスマートな日々を送るための手助けをすることができるのです。Les Millsの最新レポート「2026 GLOBAL FITNESS REPORT」によると、フィットネスクラブに通っている人の約3分の2は、クラブが自分の健康やウェルネスを支える 「最も重要」または「最も重要な要素のひとつ」と回答しています。

タイムテーブルにヨガのクラスを追加したり、呼吸法や瞑想といったマインド&ボディのセッションを強化したり、はたまた会員特典としてウェルネス系のデジタルコンテンツやサービスを提供したり、多様化するニーズに応えるべく、世界中のクラブは「あらゆるウェルネスニーズを満たすワンストップ店舗」としての地位を築き始めています。

Six Senses Hotels Resorts Spasでシニアストラテジックアドバイザーを務め、ウェルネスの専門家としても知られるアナ・ビュルスタム氏は、クラブがより広範囲のニーズに応えられることを証明できれば、大きな成長につながると考えています。

先日ロンドンで開催されたHCM Summitにて、彼女は「フィットネスは素晴らしいものですが、業界は視野を広げ、より広い意味でウェルネスと向き合う必要があります」と、各国のクラブ運営者に向けて語りました。

「現代人が求めているものは、健康寿命を支えるための『包括的ウェルビーイングソリューション』です。フィットネス業界が次に開拓すべきは健康寿命になると考えています。健康寿命の延伸、運動能力の向上、ミトコンドリアの活性化、休息やリカバリーの質改善、さらにバイオマーカー(身体の状態を客観的に評価する指標)やデジタルツイン(自分の身体をデジタル上に再現する技術)の活用など、より科学的かつ総合的なサポートへの需要が高まっていくでしょう」。

「複雑に思えるかもしれませんし、高額な投資が必要になるケースもあるかもしれません。しかし、最も重要なことは、クラブスタッフのトレーニングと教育を徹底し、会員が自身のウェルネスのために必要なことを理解できるようサポートする能力を身に付けさせることなのです」。

3. 「つながり」が主役に

ABC Fitnessの最新レポート(英語のみ)によると、クラブ会員の73%が「一定のモチベーションを保つには、コミュニティの存在が重要な役割を果たしている」と回答しています。レポートでは、「健康維持のために入会する人でも、他の会員とのつながりがあるからこそ続けられる」といった記述もあります。Les MillsのCEO、フィリップ・ミルズの言葉を借りれば、「友達が多過ぎるからという理由でクラブを退会する人はいません」。

現代人、特にZ世代は、かつてないほど孤独を感じています。私たちは、10年前と比べて友人と過ごす時間が70%も減少しており、対面でのつながりやコミュニティへのニーズは高まるばかりです。

リアルなフィットネス体験への需要が過去最高に達している今、クラブならではのアドバンテージを活かすことで、成長を加速させるチャンスなのです。

ランニングクラブやHYROXの台頭、そしてEOSWest Wood Clubsといった有名クラブの事例(英語のみ)は、コミュニティ主導の戦略が持つ力を証明しています。また、北欧で複数のクラブを展開するSATSのCEO、ソンドレ・グラヴィル氏曰く、グループフィットネスを軸にした戦略は収益増加に大きく貢献しているようです。SATSでは、スタジオクラスに参加する会員の在籍期間は、参加しない会員のそれに比べて1.8倍も長いというデータもあります(参照:『Fitness News Europe』2025年11月号)。

4. 多様化するストレングスカテゴリー

ストレングスカテゴリーへの需要が落ち着く気配はありませんが、今まで以上に消費者の目は肥えており、それに応える形でクラブは提供する選択肢を増やしています。

ジムフロアでのウェイトトレーニング以外では、ヨガやピラティス、サーキットトレーニングなど、総合的に身体を強くするプログラムが人気を集めています。筋力トレーニングは、あらゆる年齢層のための運動であり、Z世代だけでなく、中高年や高齢者にとっても欠かせません。2026年は、様々なトレーニングプログラムにストレングス要素がプラスされることが予想されます。

世界中のクラブでは、ジムフロアの有酸素マシンを撤去し、ウェイトトレーニングエリアを拡大する動きが進んでいます。加えて、スクワットラックの長い待ち時間を解消する手段として、新たに筋力トレーニングのスタジオプログラムを導入するクラブが目立っています。

こういったトレンドを受け、Les Millsは BODYPUMP HEAVY をローンチしました。シンボリックな音楽とグループのエネルギーに、Les Millsインストラクターの丁寧な指導を組み合わせることで、ジム恐怖症(gymtimidation)を取り除きます。つまり、誰もが安全で効果的なウェイトトレーニングを楽しめるように開発されたプログラムなのです。

スタジオを最大限に活用することで、高まるストレングスカテゴリーへの需要に応え、クラブの集客を最大化し、コミュニティを構築する。BODYPUMP HEAVYは、会員の定着を促進するために作られています。

5. デジタルツイン

デジタルツインという概念は、実は1960年代から存在していました。NASAのアポロ計画で導入されていたのです。近年では主に製造業で広く採用されていますが、ボディトラッキングやAIの進歩により、デジタルツインは健康改善の効果的手段としても注目を集めています。

フィットネス業界におけるデジタルツインとは、ウェアラブルデバイスのデータや検査結果、食事記録などから作成される「自分の分身」です。心拍数や血糖値などの生体データをモニタリングし、それらを分析することでパフォーマンスをシミュレーションします。結果として、トレーニングや栄養、リカバリーなど、リアルタイムデータに基づいた様々な提案を提供することができるのです。

Twin Healthは、デジタルツインとAIを活用し、パーソナライズされたヘルスプランを提供するプログラムです最近、海外で人気のオンラインフィットネス、Pelotonとの提携を発表し、ユーザーのゴールに基づいたワークアウトプランの提案を行っています。

この考え方は、クラブ運営にも応用できます。イギリスのAI企業、TwinLabsが提供するGym Twinというプラットフォームでは、施設の3Dデジタルモデルを作成し、リアルタイムでデータを収集します。そういったデータは、フロアプランやタイムテーブル、トレーニングツール、スタッフィングなど、日々の意思決定に活かされているのです。

このコンセプトが波に乗れば、会員特典としてデジタルツインを提供するクラブが出てくるでしょう。

6. 施設のスペース争奪戦

フィットネス業界におけるデジタルツインの台頭は、勘だけに頼る時代の終わりを告げると同時に、意思決定のために豊富なデータを活用する時代に突入したことを意味しています。しかし、これはほんの一例に過ぎません。

利益率の低下や高いランニングコストなどの課題に直面する中、施設の価値を最大化し、既存のスペースを最大限に活用するためには、何より発想の転換が必要です。例えば、オーストラリアの大手、Fitness & Lifestyle Groupで は、来館者のデータに基づき託児所を撤去しました。結果として30,000平方メートルほどを確保でき、ジムエリアの大幅拡大を実現したのです。また、壁を黒く塗り、無骨なスタイルの照明を採用し、オープントレーニングスペースも備えた「パフォーマンスゾーン」をスタジオ内に設けました。クラスがない時間帯は誰でも自由に利用できるようにすることで、グループフィットネススタジオに新たな価値をもたらしています。一方、グループフィットネスクラスをジムフロアで実施するクラブも増えており、これまで参加していなかった会員が興味を持つことで、フロア全体に活気を生み出し、1平方メートルあたりの利用者数が最大化されることで利益増を達成しています。

「クラブにとって、最も高額な固定費は賃料です。だからこそ、1平方メートルから最大のリターンを得る方法を考えなければなりません」と、経験豊富なクラブ運営者であり、フィットネス経済学者でもあるジェリー・サーモン氏は述べています。

「施設のレイアウトを考える時、どれだけのトレーニングスペースがあり、そのスペースがどれだけの利益を生み出しているのかを分析する必要があります。その上で、トレーニングスペースの内訳が重要になります。最も利益を生み出すものは何かを検討するのです」。

貢献利益(定員 x 利用率 x 流動率に基づくエリアごとのリターン) は、Les Millsのレポート「MVPs: The New Power Players in Club Growth(英語のみ)」のテーマでもありました。このレポートでは、まず貢献利益が最も高いアクティビティに多くのスペースを割り当て、最も収益性の高い会員層で埋めることで、クラブの可能性を最大化できると指摘しています。レポートは、MVP(最優秀会員)をターゲットにすべきだと結論付けています。なぜなら、MVPは来館頻度が高く、在籍期間も長く、他の会員と比べてLTV(顧客生涯価値)が高いからです。

7. ようやく得られる認知

まことしやかにささやかれていますが、2026年は、フィットネスが政策立案者から正当な評価を受ける1年になるかもしれません。そして、フィットネスを最も必要としている人々の人生を変える1年になるかもしれません。

何十年もの間、政府や医療機関はフィットネスを過小評価してきました。しかし今、健康的な社会を築く上でフィットネスが果たす大きな役割が認められ始めているのです。

需要過多によって医療現場が逼迫する中、世界各国の政府は「治療より予防」の重要性を理解し始め、いつくものフィットネス推進政策を発表しています。

アメリカでは、HSA(Health Savings Accounts、医療貯蓄口座)や FSA(Flexible Spending Accounts、医療費控除口座)の規定が見直され、今後は、ワークアウトアプリのサブスクリプションやホームジムのマシーン、リカバリー製品など、フィットネス関連のサービスにも利用できるようになりました。

さらに、メディケアは、診察時に患者の身体活動量や栄養習慣を評価する医師に対し、報酬を支払うようになります。この政策は、HFA(Health & Fitness Association、旧IHRSA)と PAA(Physical Activity Alliance、身体活動の促進を目的とした連合組織)による働きかけによって実現したものです。これにより、身体活動が測定可能な臨床的要因として認められ、運動は単なるライフスタイルの提案ではなく、れっきとした「医療行為」として認められたことになります。HFAは現在、特に高齢者のために、運動をベースとした予防プログラムの拡大を議会に呼びかけています。

健康のためだけでなく、フィットネスは経済成長をあと押しする存在としても注目され始めています。イギリス政府が新たに打ち出したKeep Britain Working Reviewは、職場における健康問題を改善することで労働力の損失を防ぐ取り組みです。これまでの「職場での健康管理は個人とNHS(National Health Service、イギリス政府による国営医療サービス)次第」という考え方から、雇用主・従業員・医療サービスが互いに補い合う仕組みへの転換が狙いです。2029年に向けては、選ばれた7社のフィットネス関連企業が提案の具体化を担うことになりました。イギリス全体で、より健康的で生産性の高い労働力の創出が期待されています。

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