
フィットネスレースに向けたトレーニングでも、体幹を鍛えるエクササイズでも、楽しみながらカロリーを消費するダンスでも、人とのつながりを生み出すグループフィットネスの需要は高まっています。会員の継続率を高め、クラブのビジネスを成功へ導くため、今、この熱量を活かさない手はありません。
本記事では、いかにグループフィットネスが会員の継続率アップに貢献するのかを紐解いていきます。メンバーロイヤルティやコミュニティ形成、インストラクターの存在意義など、グループフィットネスを取り巻く重要な要素を深く理解すれば、クラブの継続的な成長につなげることができます。
グループフィットネスとメンバーロイヤルティの関係性は、多くのクラブ運営者が想像している以上に強固なものです。フィットネスデータコンサルタントの4GLOBALとROR Partnersは、ヨーロッパとアメリカの1,312クラブ260万人におよぶ会員の行動パターンを分析しました。その結果、施設への来館頻度が高く在籍期間も長い、いわゆる「MVP会員(最優秀会員)」の共通点が明らかになったのです。
>>>>> MVP会員について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

データによると、Les Millsのスタジオクラスに参加している会員は、他の会員と比べて来館頻度が65%高く、在籍期間は39%長く、さらに12ヶ月後もクラス参加を継続している可能性は88%高いことがわかりました。また、LTV(顧客生涯価値)に関しては27%高いという数字が出ています。つまり、グループフィットネス愛好家、とりわけLes Millsのスタジオクラスに参加する会員は、クラブにとって非常に価値の高いMVP会員であると言えます。
さらに、MVP会員を増やすための施策を実施していないクラブでは、実施しているクラブに比べて退会率が187%高いこともわかっています。自身の在籍期間が長いことに加え、友人などの新規会員を連れてきてくれることからも、クラブの安定した成長と収益を支えるうえでMVP会員は非常に重要な存在です。では、どのようにしてMVP会員候補を見つけ、増やしていけばいいのでしょうか?
世界のグループフィットネス市場を見てみると、ミレニアル世代とZ世代(合わせてアクティブ世代)が大多数を占めていることがわかります。アクティブ世代は、一般的に筋力トレーニングへの関心が高く、新しいフィットネス体験に尽きることのない探究心を持っています。「2026 Global Fitness Report」によると、アクティブ世代の63%が常に新しいワークアウトを求めています。だからこそ、進化を繰り返すLes Millsのグループフィットネスがマッチしているのでしょう。
一方で、今後クラブが開拓すべき層を見ていきましょう。それは、運動を習慣付けたいと思いながらも実行できていない人たちです。若い世代を中心に、フィットネスへの高いモチベーションを持っている人たちがいるのに対し、クラブ会員の41%は運動を「やらなければいけないもの」と位置付けています。運動を義務として捉えており、本当の意味で自分にマッチしたワークアウトに出会えていない可能性が高いのです。つまり、彼らの心を動かすことができれば、グループフィットネスの魅力を知ってもらうことができれば、クラブにとっては会員継続率の底上げにつながる大きな機会となります。では、グループフィットネスの素晴らしさを伝えるうえで、効果的なアピールポイントは何でしょうか?
イギリスの大手ヘルスケア慈善団体、Nuffield Healthの調査(英語のみ)によると、男性の4人に1人が自分の属する場所にフィットネスコミュニティを挙げています。これは、クラブが運動するだけの施設ではないことを意味しています。また、56%が「誰かと一緒の方が運動を続けやすい」と回答しており、コミュニティへの帰属意識が会員の継続率アップに寄与していることがわかります。ABC Fitnessの調査(英語のみ)でも、クラブ会員の67%が運動を続けるモチベーションにコミュニティの存在を挙げています。

Les Mills New ZealandのCEO、ブレット・サットンは、ニュージーランドで展開する12クラブの成長において、「コミュニティ」を重要な柱のひとつと位置付けています。「グループフィットネスは、会員のモチベーションを引き出すうえで欠かせません。彼らは同じ目標を持つ仲間と一緒に運動したいと思っているのです」と語ります。
「最初は、スタジオに知り合いがまったくいないという状況も珍しくはないでしょう。しかし、インストラクターやクラス参加者との間にコミュニティが育まれていく様子を、私はこれまで幾度となく目にしてきました。インストラクターには、クラス参加者の心に残る体験を提供するという任務があります。誰もが『ここには自分の居場所がある』と感じられるようサポートしています」。つまり、グループフィットネスの魅力であるコミュニティの形成には、インストラクターの存在が欠かせないのです。
フィットネスコミュニティを「自分の属する場所」と言うアクティブ世代を筆頭に、クラブに「雰囲気の良さ」を求める人は少なくありません。そのため、会員と接する機会の多いインストラクターは言わばクラブの顔であり、より多くの人に選ばれる施設になるための重要な役割を担っているのです。スタジオクラスへの参加を動機付ける大きな要因のひとつに、インストラクターの存在があり続けるのも納得です。
「2026 Global Fitness Report」では、フィットネスへの関心や参加意欲がかつてないほど高まる一方で、トレーニングに対する不安感も明らかになりました。特に筋力トレーニングにおいては、初心者〜中級者の44%が自身のテクニックに不安を感じており、39%が適したウェイト選びに迷っています。また、上級者を自認する人でさえ、30%が「上達する方法がわからない」と回答しており、4人に1人が自身のテクニックに疑問を感じています。
こうした不安を抱える会員に寄り添い、彼らを支えることができる存在、それがインストラクターです。専門知識に基づくコーチングやモチベーションを高めるコネクションを通し、クラス参加者が成果を実感できるよう手助けをします。さらに、インストラクターを起点にコミュティが育まれていくことで、スタジオクラスならではの一体感や人とのつながりが生まれ、それがメンバーロイヤルティ(= MVP会員)へとつながっていきます。つまりは会員の継続率が高まり、結果としてクラブの収益となるのです。


未経験者にスタジオクラスを体験してもらうには、まず参加へのハードルを下げることが重要です。プログラムの選択肢を増す、強度を調整できることをアピールするなど、対策を考えてみましょう。
アイルランドのクラブチェーン、West Wood Clubsでメンバーエクスペリエンスマネージャーを務めるルーク・ヒープス氏は、スタジオクラスを経験したことのない会員の不安や緊張を取り除くことで、信頼関係を築くことができると言います。
「特に、運動経験の浅い新規会員を迎え入れる時は、彼らの感情に寄り添うことが大切です。何より安心して参加できるクラス作りがカギとなります。クラスの冒頭では、『20分で十分だと感じたら、無理をせず途中で退出しても大丈夫です』と会員に伝えています」。
Nuffield Healthのインストラクター、サラ・スティール氏も同意見です。LES MILLS REFORMERを導入した際に、会員が安心して参加できるようになるまでクラスを見学可能とすることで、初めてリフォーマーベッドを扱う不安を取り除くことに成功しました。「Les Millsに馴染みのある会員であれば、音楽に合わせて行うことや、翌週も同じ内容であることは簡単に理解できます。逆に慣れていない会員であれば、まずはクラスを見学し、参加するのは翌週にしても構いません。私たちは、そういった参加方法も積極的に推奨しています」。
>>>>> グループフィットネスを体験してもらうためには、イベントの開催もオススメです。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
最後に、クラブ運営者が押さえるべきポイントのまとめです。グループフィットネスは、タイムテーブルを埋めるためだけのものではありません。会員の継続率を高める効果的なアプローチであり、クラブの成長を後押しする原動力となるものです。高まるフィットネス需要を目に見える成果につなげるため、次の3つに取り組みましょう。
・ターゲットを明確にする
・気軽にスタジオクラスを体験できる機会を提供する
・インストラクターによるサポートを「自信を高める価値」として訴求する