
単に人気のグループフィットネスプログラムを導入するだけで、新規会員を獲得できるとは限りません。見込み会員の入会を確実なものにするには、彼らのニーズに合ったスタジオクラスをラインナップし、初めてでも参加しやすい雰囲気を作り、何より「また来たい!」と思える体験を提供することが大切です。そのために必要なものは何か? 需要と供給の見極めや効率のいい運営を含め、具体的な実践方法を見ていきましょう。
適切なグループフィットネス戦略は、既存会員のモチベーションを高めるだけでなく、新規会員の獲得にもつながります。
ABC Fitnessの調査(英語のみ)によると、クラブの新規入会者数は前年比で9%減少していることがわかりました。すべての見込み会員を惹き付ける万能なプログラムは存在しませんが、どのようにすればスタジオクラスは新規会員の獲得に貢献できるのでしょうか?
当たり前のことですが、見込み会員の属性によって適したクラスは異なります。しかしながら、成功するクラスには共通点があります。参加のしやすさ、優れた指導や丁寧なサポート、人とのつながり、一貫して質の高い体験です。

初めてでも気軽に参加できるクラス
クラブへの入会を検討している人は、自宅でのワークアウトや他クラブでのクラスと比較しながら、自分に適した運動環境を探しています。だからこそ、「ここなら安心して通えそう」と感じてもらえるような、初めてでも気軽に参加できるクラスを提供することが大切です。
そのため、見込み会員に向けたマーケティング活動では、以下の5つを意識しましょう。
・わかりやすい説明
・体力レベルに応じた選択肢
・親しみやすい雰囲気
・オプションを選ぶことが当たり前と感じられる環境
・初心者でもわかるボキャブラリー
インストラクターが届ける価値を発信
新規会員の獲得には、インストラクターの存在が欠かせません。その役割は多岐にわたり、単にクラスを担当することに留まりません。スタジオ全体に目を配り、参加者に動き方をわかりやすく説明し、必要に応じてオプションを提示し、誰もが自信を持って動けるようにサポートします。さらに、参加者同士のつながりを育むことで、「また来たい!」と思える体験を生み出しているのです。こうした魅力を見込み会員に伝えることは、リアルな体験の提供と同じくらい大切です。スタジオクラスへの関心を入会につなげるため、インストラクターが届ける価値を積極的に発信しましょう。
今、SNSはクラブ選びの重要な情報源になっています。クラブへの入会を検討している人は、実際に施設へ足を運ぶ前からSNSで情報収集をしています。つまり、SNSでクラスの様子を発信することは、多くの人にクラブの魅力を知ってもらい、入会をあと押しするキッカケになるのです。伝えるべきことは、クラスの雰囲気や熱量、そして参加者同士のつながりです。運動を続ける理由に、コミュニティの存在を挙げる人は少なくありません。スタジオクラスでの素晴らしい体験は、継続的に発信していきましょう。
West Wood Clubsのグループトレーニングマネージャー、ティナ・ボールズ氏はこう語ります。「現代の会員は、ただワークアウトやウェイトトレーニングをするためだけにクラブを訪れているわけではなく、『体験』を求めていることを心に留めておくことが重要です。特に、これまでクラブやスタジオに足を運んだことのない層を振り向かせたいのなら、この視点はマストです」。

新たな層を取り込むには、その属性に合ったクラスやサービスの提供が必要です。Les Mills New ZealandのCEO、ブレット・サットンはこう語ります。「クラブ運営者は、まずどのような人がターゲットで、彼らが何を求めているのかを理解する必要があります。それが、需要と供給が合ったクラスやサービス提供の第一歩になります。取り込みたい層と提供するものが明確になったら、それらを実施できる環境を整えます。また、海外のトレンドにも目を向け、素早く対応することが、新たな層を獲得するカギになります」。
こうしたアプローチを実践したのが、Fitness and Lifestyle Group社でナショナルグループフィットネスマネージャーを務めるニコール・グレインジャー氏です。CEREMONY HYROXを導入することで、これまでリーチできなかった層にもクラブをアピールすることができたと言います。「CEREMONY HYROXの参加者は65%が男性で、平均年齢は34歳です。他のクラスと比較しても、はるかに若い層の獲得につながっています」。
ターゲットと提供するクラスやサービスが明確になったら、次は適したチャネルを通じて情報を発信しましょう。SNS(オーガニックおよびペイド)やメールマガジン、地域コミュニティなど、ターゲットの目に留まるチャネルを見極めることも重要です。同時に、施設内でもスタジオクラスの魅力を発信し、既存会員が友人や知人に教えたくなるキッカケを作りましょう。デジタル全盛の時代ですが、口コミの拡散力を侮ってはいけません。

特定の世代だけに焦点を当てる必要はありませんが、ターゲットに合わせてサービスを調整し、彼らに刺さるトーンでコミュニケーションすれば、「自分たちのことを理解してくれるクラブだ」と思ってもらえるはずです。
若い世代にとって、「自分に合ったワークアウトを提供しているか?」は、クラブ選びの条件で上位に入ります。「2026 Global Fitness Report」によると、54%が「新しいワークアウトやトレーニング方法を試したい」、50%が「自分の限界に挑戦したい」と回答しています。また、この世代はグループでのアクティビティにも積極的で、誰かと一緒に身体を動かすことが好きな人は、上の世代の27%に対して45%にのぼります。
ターゲットが望むクラスを提供することも大切ですが、まずはスタジオの現状を把握するため、以下の4つを確認してみましょう。
・既存のスタジオスペースで実施できるクラスですか?
・無理なく参加できる人数は何人ですか?
・どのくらいのトレーニングツールと保管場所が必要ですか?
・トレーニングツールは複数プログラムで使えるものですか?
Les Millsのプログラムは、限られたスペースやトレーニングツールを有効活用し、参加人数に応じて最適な形でクラスを実施できるよう設計されています。また、トレーニングツールは複数のプログラムで兼用できるため、効率的な運営と費用対効果の両立が期待できます。例えば、BODYPUMPやBODYPUMP HEAVYで使用するLes Millsのウェイトプレートは、LES MILLS COREなどのスカルプティング系プログラムや、CEREMONY HYROXなどのサーキット系プログラムでも使用できます。もちろん、BODYBALANCEやLES MILLS YOGAなど、マットのみで実施できるマインド&ボディ系プログラムも提供しています。
より多くの人にクラスを届けるには、需要の増加に応じてクラスを増設できる体制を整えておかなくてはなりません。カギとなるのが、常にインストラクターを確保し、継続的に育成する仕組みです。次の質問に対して「いいえ」と回答する項目があれば、もしかしたら準備不足かもしれません。今のうちから対策を練りましょう。
・需要が高まった際、すぐにクラスを増設できますか?
・クラスの実施回数や場所が増えても、一貫したクォリティを維持できますか?
・短期間でアップスキルし、すぐに展開できるインストラクターが揃っていますか?
やるべきことはたくさんありますが、まずはひとつずつ見直し、できることから実践してみましょう。

既存会員の維持だけでなく、新規会員の獲得にも成功しているクラブでは、必ずと言っていいほど人気カテゴリーのプログラムをバランスよく導入しています。ストレングスやHIIT、マインド&ボディなど、幅広い選択肢を提供することができれば、より多くの人が関心を持ってくれるでしょう。多種多様な好みに応えられるタイムテーブルは、それだけでスタジオを活性化させるのです。
ここで、いくつか人気カテゴリーをご紹介します。
ストレングス
現在、Z世代とミレニアル世代の間で最も選ばれているのが筋力トレーニングです。幅広い層のニーズに応えられるため、タイムテーブルに取り入れやすいカテゴリーと言えます。「2026 Global Fitness Report」によると、ストレングスプログラムはグループトレーニングの中で最も人気のあるカテゴリーで、2018年以降、クラスの参加率は20%も増加しています。
人気の理由は、「強くなった」「身体が引き締まった」など成果が見えやすい点にあります。言い換えれば、見込み会員にメリットを伝えやすいということです。また、筋トレ=若者向けというイメージを抱く人もいるでしょうが、軽めのウェイトや自重で行うことで老若男女が楽しめます。つまりは、年齢を重ねても健康的に過ごしたい方にもオススメなのです。
前述のレポートでは、筋力トレーニングに興味を持っている人のなかで、54%が「何から始めればいいのかわからない」、50%が「施設のウェイトエリアに入りにくい」と回答しています。そんな不安を感じている人にとって、インストラクターが丁寧に指導してくれるスタジオクラスは、安心して第一歩を踏み出すキッカケになるでしょう。楽しく動きながら自信を付け、成果を実感できる。それがLes Millsのストレングスプログラムです。
HIIT
日々忙しく、時間に余裕のない人が求めているもの、それは短時間で効果を得られるクラスです。その点、HIIT(高強度インターバルトレーニング)は他プログラムよりも短い30分が基本なので、タイムテーブルに組み込みやすく、短時間のセッションは、スタジオの回転率を高めつつ、会員に充実した体験を提供できるので、まさに一石二鳥と言えます。
アイルランドのクラブチェーン、West Wood Clubsでメンバーエクスペリエンスマネージャーを務めるルーク・ヒープス氏は、戦略的なクラス編成によって、会員により充実した1日を提供できると言います。「各クラスの時間を短くすることで、会員は一度の来館で複数カテゴリーのクラスに参加できます。つまり、より満足度の高い1日になるということです。ストレングス、カーディオ、マインド&ボディ……、様々な効果を得るために数時間も運動し続ける必要はありません」。
サイクル
同じく「2026 Global Fitness Report」によると、新しい環境で運動する際、32%が「使い慣れた器具を使いたい」、25%が「動きを間違えた時、周囲の人にどう思われるのか気になる」と回答しています。その点、「自転車」という誰もが馴染みのある器具を使い、「ペダルを漕ぐ」というシンプルな動きがメインのサイクルプログラムは、見込み会員を惹き付けるのに適していると言えます。さらに、没入感のある体験もアピールポイントのひとつです。負荷や強度の調整も簡単なので、初めて参加する人でも自分のペースで動くことができ、結果としてリピート参加につながるのです。
また、施設のスペースを効率よく活用できる点もサイクルプログラムの魅力です。ウェイトエリアでは1会員あたり約7㎡のスペースを必要とするのに対し、インドアサイクルでは約2㎡と省スペースです。より多くの参加者をクラスに迎え入れられるうえに、施設のスペースを有効活用できるのです。
マインド&ボディ、スカルプティング
既存会員の維持と新規会員の獲得において、その両軸で効果的なのがマインド&ボディやスカルプティングといったカテゴリーで、それはクラス参加者の声からも明らかです。以前「ウェルネスの重要性を再確認」でも触れましたが、「2026 Global Fitness Report」回答者の94%が「自身のウェルネスを支える最も重要なツール」としてクラブを挙げています。そして、クラブの中心にあるのがスタジオです。ヨガ、ブレスワーク、マットピラティス、リフォーマーピラティス、スカルプティングといったワークアウトは、今なお人気が高まっており、クラブ入会のキッカケにもなっています。
筋力トレーニングやHIITがしっかり動きたい人たちのニーズに応える一方で、現代人の多くは心身ともにリラックスできる選択肢も求めているのです。「2026 Global Fitness Report」によると、運動をする理由に、45%が「メンタルヘルスのため」、42%が「ストレス軽減のため」と回答しています。
現代人にとって、身体への負担が少ないリカバリー系のエクササイズは必須項目になっています。
日々の暮らしにおいてウェルネスの重要性が高まるなか、多種多様なニーズに応えられるようにしておくことで、クラブのビジネスチャンスは一気に広がります。なぜなら、人々は自身の心身の健康ニーズを総合的に満たしてくれる場所を見つけると、その体験を他者と共有する可能性が高くなるからです。
ここで紹介したカテゴリー以外にも、Les Millsでは様々なプログラムを展開しています。既存会員の満足度を高めつつ新規会員を獲得するため、適したプログラムを選び、より多くの人に素晴らしい体験を届けましょう。